INTERVIEW

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おとぎ話 "CULTURE CLUB" スペシャル インタビュー 【前編】

  • 2015.02.13
felicityへの電撃的なレーベル移籍、「最高傑作」との評価を集める2年ぶりニューアルバム『CULTURE CLUB』発表と、大きなターニングポイントを迎えた、おとぎ話。メンバー4人による座談会を敢行!

レーベル移籍の真相から、アルバム全曲解説まで、すべてを語った“濃厚”インタビュー(前編)をお届け!!

★インタビュー(後編)はコチラ↓
http://1fct.net/interview/interview047


出席者
・有馬和樹(おとぎ話/ボーカル、ギター)
・牛尾健太(おとぎ話/ギター)
・風間洋隆(おとぎ話/ベース)
・前越啓輔(おとぎ話/ドラム)

聞き手/おとぎ話1号
撮影/タイコウクニヨシ


有馬和樹(おとぎ話/ボーカル、ギター)
■なんか「レーベルが変わるってこういうことなんだ」って実感してますね(有馬)

— さて、ニューアルバム『CULTURE CLUB』が発売されて、この時点で約1週間ほどですが、みなさん手応えのほどはいかがですか?
有馬 あの~、いままでは「アルバム発売前後、1週間くらいだけガーンと盛り上がって、ツアーがあって、ハイ終わり」っていう感じでしたけど。そこは違うなと。

— いわゆるバンドのアルバムが出たときの“定型”とは違うと。
有馬 ハイ。今回は取材や発信する媒体もかなり絞ってますし、もちろん作品もかなり自信があるんで。なんか「口コミでジワジワ広がるんじゃないか」という予感というか希望かな? そういう気分が強くありますね。

前越 その“口コミ感”? 全然違いますよね。Twitterでも、読み物として「俺の感想、読んでくれよ!」っていう、作品にリスペクトの込もった熱い感想が多いし。

風間 今回、丸2年越しで、やっとアルバムができて……。じつは出るまで凄く不安だったから、単純に発売できたことがメチャクチャうれしいっすね。

牛尾 ただ、いままではアルバムが出ると、「あれもやらないと、これもやらないと!」っていう焦る気持ちが凄くあったんだけど、今回は気持ち的に余裕があるというか。

有馬 ウン。その「焦りがない」のは大きいよね。課題もあるけど、とりあえず目の前のことを一個ずつこなしていけばいいって感じで。いまは俯瞰してバンドの活動も見えてるし。

前越 なんつーか、視線が変わったよね?

有馬 変わった! それに、どこかで“安心”してるんだよね。バンドとしてやるべきことも見えてるし。だから、最近は「レーベルが変わるってこういうことなんだな」ってことを日々、実感してます。

■「タイトルは、『CULTURE CLUB』だよね!」と言われて。「えーっ! 早っっ……!」と(有馬)

— まさに、その話ですけど、おとぎ話がfelicityへ移籍したキッカケは?
有馬 去年の1月かな? 「blurが来日する」と聞いて、「ひさびさに揃ってライブ行こうぜ!」と盛り上がって、4人でライブに行ったんです。で、牛尾がライブ終演後に何を血迷ったか、メチャクチャダサいTシャツを買おうとして……。

一同 ワハハハハハ!

牛尾 いやいや! アレは有馬が「買っとけ!」って言ったんじゃん!(笑)。

有馬 「絶対買っとけ!」って、俺が言ったんだけど(笑)。で、牛尾と物販に寄ったあと、会場の出口付近で、一人で出てきた櫻木(景/「felicity」レーベル・プロデューサー、)さんに偶然会ったんですよ。「おっ! blur? blur?」って感じで話しかけられて。

— 櫻木景さんは、いわゆるfelicityのトップですね。
有馬 櫻木さんとは、昔から知り合いだったんですけど、直接的な仕事の話はほぼしたことがなくて。そのとき冗談で「俺のソロアルバム、出してくださいよ~」みたいな話をしたんだけど。「あ! felicityから、おとぎ話を出してほしいな」と瞬間的に思ったんです。で、日をあらためて櫻木さんに自分から電話をして。

牛尾 ああ、そうなんだね。

有馬 ウン。同じライブに行ってるのもなんか嬉しかったし。それで後日、最初に櫻木さんと面談みたいなミーティングをしたとき、40曲くらい入ったアルバムのデモ音源をバコンと渡したんです。

風間 資料もキッチリ作って持って行って。完全にプレゼン状態ですよね。

有馬 じつは最初は「ウチでやっても、何も変わらないよ?」と言われたんだけど。そこから1ヶ月……櫻木さんが音源を聞き込んで、「本格的にやりますか!」と連絡をもらった時には、今回のアルバム11曲が出揃ってましたから(笑)。

— すでに曲順が出揃っていましたか!
有馬 で、櫻木さんから、「タイトルは、『CULTURE CLUB』だよね!」ってビシッと言われて。「えーっ! 早っっ……!」と(笑)。

一同 ワハハハハハ!

風間 まだ、一曲も録音していなかったのに!(笑)。

牛尾健太(おとぎ話/ギター)

■有馬が相談できて、話も聞いてくれる。バンドの4人プラス・そういう人が必要じゃないかと(牛尾)

— でも、曲順やタイトルといった一番コアな部分を“預ける”って、相当な転換ですね。
有馬 ただ、自分は「次のアルバムは信頼できる大人、一緒に闘える大人と作りたいな」って気持ちが強かったんですよ。

牛尾 そういう空気は感じてました。っていうのも、バンドの運営面を風間が担当したり、広報的な顔の部分は有馬がやってる。でも、それは限界があるじゃないですか?

— ここ数年、おとぎ話はDIY精神でやり続けてましたけど、行き着くとこまで行った感もありますし。
牛尾 だから、ちゃんと有馬が相談できて、有馬の話を聞いてくれる。バンドの4人にプラス、そういう人も必要じゃないかと。実際、櫻木さんと仕事するようになったら、有馬も凄く楽しそうだし、「いい感じのグルーヴ出てんな」と(笑)。

前越 バンドの主導権を握っている有馬と対等か、それ以上の関係性で「おもしろいこと、やりてーんだけど」と言ってくれる櫻木さんは凄く新鮮ですね。有馬も、いままで表舞台でメインを張ってくれたけど、今回は「バックに櫻木さんがいる」って感覚が芽生えたからか、それほど肩の力を入れず、安心してアルバムを発売できたんじゃないかなと。

有馬 いや~、ホントにみんなの話、そのとおりな気がします……。

■ボクが1回、バンドからいなくなって、村の城壁が崩れてしまったというか……(牛尾)

牛尾 前回のアルバム(『THE WORLD』)インタビューの時、「おとぎ話は、どこかの村に属するんじゃなく、自分たちの村を築いた」って話をしたじゃないですか。たしかに、村を築いたんですけど、あまりに城壁が頑丈な村を作っちゃって。誰も入れなくなっちゃったというか。

風間 少し窮屈になってしまったのかなって。

牛尾 自分で言うのもなんですけど、ボクが1回バンドからいなくなって(※註=2013年8月に牛尾君が失踪、バンドが存続危機になってしまう事件が発生)。その村の城壁が崩れてしまったというか……。

有馬 牛尾っていう城壁がね(苦笑)。ま、その事件は自分たちにとって、凄く大きかったですけど、結果的には結束が強まって、バンド再生に繋がっていますから

牛尾 その城壁が崩れたことで、また外部から出入りしやすくなったというか。その一つがfelicityだったんじゃないかなと。で、村に住んでるボクらも、周囲が見渡せるようになったというか。

前越 わかりやすい例ですねえ(ニヤリ)。

— よくわかりました! では、引き続き、ここからは、アルバムの“全曲解説”をお願いします。

■1曲目で「コレって、おとぎ話なの?」と驚かせたかったんですよね(有馬)

1:『運命』

— 1曲目は『運命』。アルバム冒頭の3曲は、一風変わったギターサウンドで、しかも組曲のような印象がありますね。
有馬 櫻木さんも「1~3曲目で、『いままでと、まったく違う』と思わせたい」と言ってましたし。ボクも1曲目で「コレって、おとぎ話なの?」と驚かせたかった。まず曲調で裏切りつつも、メロディを聞くとおとぎ話らしい感じで。

— しかも『運命』って、リスタート感が凄くある曲ですよね。
有馬 そうなんですよ。リスタート感はかなりありますね。「さよなら、青い世界よ」っていう歌詞もシッカリ入ってますし。

前越 パンクのあとのニューウェーブ感というか。「新しい波が押し寄せてきた!」みたいな(笑)。で、最初はもっとゆっくりで。(セックス)ピストルズの『アナーキー・イン・ザ・UK』みたいなドラムだったんだけど……。

有馬 サイケな「トゥモロー・ネバー・ノウズ」(ビートルズ)みたいなテンポで、バックにノイズが鳴ってるような曲だったのに。そこから「早くしよう」って感じで、いまのビートナンバーに生まれ変わったんだよね。

2:『きゅーと研究会』

— この2曲目も、従来のおとぎ話のイメージで聴くと、かなりビックリしますよね。
有馬 そうですね。かなりゴリゴリのメタル、ハードロックナンバーですから(笑)。

— でも、曲はゴリゴリでも、歌詞が凄くポップだし。アルバムから『COSMOS』の次に、MV化にしたのが、この曲だったのも興味深くて。
有馬 そこもバンドの強烈な意志というか、“正解感”がありますよね(笑)。次に、『COSMOS』の次にMVにする曲は、『運命』か『きゅーと研究会』で考えてたんですけど。アニメーションを“鬼才”Necony COBAINさんにお願いすることになって、「絶対に『きゅーと研究会』がハマるな」と。

— 曲のポップな世界観がMVでシッカリ補完されて、凄くわかりやすくなってますよね。

前越啓輔(おとぎ話/ドラム)

■いま世の中の人たちって、真面目じゃないことを欲しがっているんだなって(有馬)

3:『カルチャークラブ』

— で、問題の3曲目は、歌詞でひっかかっている人がかなり多くて……。
有馬 そう! ただ、この曲は、おとぎヘッズにもおなじみ、タイコウ(クニヨシ/おとぎ話カメラマン)さんが、歌詞面ですっごく不安がってたんですよ。でも、ラジオ局とか、どこに行っても「あの曲の歌詞、サイコー!」って言われるので。不安がってたのは、タイコウさんだけだったと(笑)。

タイコウ いや~、すんません!(笑)。俺は、おとぎ話のこと、なんもわかってなかったなと。でも、ホントに心配だったんだよね。

— その不安って、なんだったんですか?
タイコウ 俺は、おとぎ話はサブカルチャー好きな人にも好かれてるのはわかってたけど、個人的に「全然、サブカルチャーじゃない」と思ってて。でも、この曲で有馬くんの口から「サブカルチャー」って言葉が出ることに、違和感を感じたし。「そんな言葉を口にしなくても、どんな場所にもいれる、絶妙のバランス感覚がカッコいいのに」と思ってたんでね。

牛尾 タイコウさんが言うこともわかりますね。テーマが「サブカルチャー」のぶん、敏感になっちゃいますから。

— ただ、この曲の歌詞は、皮肉が入り混じっているというか。
有馬 アイロニーですよね。あと、基本的にふざけてる(笑)。でも、この曲への反応を見てると「いまの世の中、真面目じゃないことを欲しがっているんだな」と思って。

前越 そもそも、この曲をアレンジしているときなんて、シャ乱Q聴きながらやってましたから(笑)。

一同 ワハハハハ!

有馬 シャ乱Qの『my Babe 君が眠るまで』って曲があって、その曲のアレンジをかなりパクりました(笑)。

— あと、この歌詞は、ヒップホップの歌詞みたいな感じもします。
有馬 ウン。一種の批評というか。でも、DISって一つの愛だし、ギャグじゃないですか。ただ、いまバンドでそういうギャグを言う人がいないから。あと……深くないんですよ。じつは深いんですけど(笑)。

前越 でもさ、「浅くて深い」って、超ロックだよね(ニヤリ)。

一同 ワハハハハ!

前越 blurなんて、すげー不真面目じゃん? 他人事みたいな感じで演奏したり。oasisはガチで演奏してるのに、ふざけたダンスナンバーで踊ったり。そういうblur的なカッコよさがこの曲にはあるよね。

風間洋隆(おとぎ話/ベース)

■牛尾が失踪した時期にアレンジを仕上げたんで、その時のことを強烈に思い出しますね(風間)

4:『少年』

— ここで一転、シリアスモード。『少年』は、おとぎ話の新しいスタンダードナンバーだと思います。
有馬 あの~、いままでスタジオで録音するときって、奇跡を起こそうとしてたんですけど。『少年』はソリッドで音数を少なくして録音したんです。でも、それって “自分たちが知ってる音源”なんですね。

前越 無理してないよね。

有馬 そう。まんまスタジオやライブでやってる、馴染んだ音で録音できたのがうれしくて。あと『少年』はちょうど牛尾が失踪した時期に作った曲なんで。「これからも、4人でやっていこうぜ!」というスクラムソングなんです。それがギミックなしで録音出来たのもよかった。

牛尾 アレンジも歌詞も、まさに“等身大”って感じだよね。

— 歌詞もメッセージ性が強くて、宣言みたいな感じもしますね。
有馬 というか、“手紙”っぽいのかなと。牛尾のいない時期だったから、牛尾への手紙かもしれないし、自分への、メンバー4人への手紙なのかなと。だから、いまのおとぎ話のテーマソングですよね。

— 風間くんはどうですか?
風間 いや~、いいですよね(噛み締めるように)。……今日、俺はそれしか言ってないけど(苦笑)。

有馬 いいんだよ、風間! べつにそれでいいじゃん。

前越&牛尾 いい、いい(笑)。

風間 ハハハ! でも、この曲は一昨年の8月、牛尾がいなくなった時期にアレンジを仕上げたんで、その時のことを強烈に思い出しますね。福岡で3人で演奏したこともあったし。いまこの曲を演奏してると「牛尾が帰ってきてよかったな」って……(しみじみと)。

— あと、この「かかって来いよ、未来」って歌詞が凄く強いですね。
有馬 なんで書いたんだろ?(笑)。……まあ、ぶっちゃけ、いままでは「時代の端っこにいればいいや」とか思ってたんですけど。この曲を作った時は、「俺がロックシーンの先頭に立たないと後続が続かねーな!」ぐらい思ってたんで。じゃないとこういう歌詞は書かないですね。

— けっこう覚悟を決めたというか。
有馬 受け入れたんじゃないですかね? いままで褒められたりすると、「いやいやいや!」って照れ笑いでごまかしてたけど。最近は「いまさら気づいたか!」って内心思ったりするし(笑)。あと、この曲があるからこそ、真面目なこともリアリティを持って言えるし、同時にふざけることもできる。それが楽しいんです。それぐらいおとぎ話にとって、大事な曲ですね。

※前編はここまで。後半は2月20日に更新の予定です。


おとぎ話
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  • 2015.01.14 On Sale
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PROFILE
おとぎ話otogivanashi
おとぎ話 2000年に同じ大学で出会った有馬と風間により結成。2 年後に同大学に入学した牛尾が加入、その数年後に同大学にて clisms CLISMSというバンドで活動していた前越が加入し現在の編成になる。
2007年に UKプロジェクトより 1st アルバム「SALE!」を発表すると、数々のミュージシャンからのラブコールが増え共演を果たし
2008年の 2nd「理由なき反抗」、2010 年3rd「FAIRYTALE」において初期のおとぎ話におけるオリジナリティーを確立させた。
ROSE RECORDS からの 2010 年の 4th「HOKORI」、2011 年の 5th「BIG BANG ATTACK」では、今までの「うたもの」の要素に独特なジャンク感をポップに大胆にミックスし再び UKプロジェクトからの 2013年の 6th「THE WORLD」で独自のロックンロールを表現する唯一無二の存在感を得るに至った。
また、実は結成 15 年目のバンドであり、ライヴバンドとしての評価も高く、共演を熱望するミュージシャンは若い世代の新人バンドから有無を言わさぬ大先輩ミュージシャンまでジャンルを問わずにあとをたたない。
日本人による不思議でポップなロックンロールをコンセプトに活動中。

http://otogivanashi.com/
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