INTERVIEW

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青木ロビン(downy)×河合信賢(envy)対談

  • 2016.09.23
青木ロビン(downy)×河合信賢(envy)対談
インタビュー:金子厚武

2013年に9年ぶりの復活を遂げたdownyの歩みは、沖縄でのenvyとの対バンから始まっている。意外にも2000年代初頭には直接的な交流がなかったという2組だが、初の対バンですぐに意気投合すると、翌年にはリキッドルームで2マンを開催。そこにMONOのTakaakira 'Taka' Gotoが合流し、envyの河合信賢、downyの青木ロビンという3者が中心となって、新たなフェスティバル「After Hours」の開催発表へと繋がっていった。

メンバー脱退という「事件」を経て、4月に都市型フェス「SYNCHRONICITY」とのコラボーレションという形で行われた「After Hours」でのenvyのライブでは、BRAHMANのTOSHI-LOW、kamomekamomeの向達郎、toeの山?廣和、MILKCOWのTSURU、EARTH FEDERATIONのHEVIといった錚々たるゲストボーカルの中にあって、そのトップバッターを青木ロビンが務めたことも記憶に新しい。そこで今回は、downyの新作『第六作品集「無題」』の発売を記念して、青木ロビンと河合信賢の対談を実施。両者の関係性やお互いから見たそれぞれの音楽性、「After Hours」開催の意義についてまで、幅広いテーマで語り合ってもらった。

― 僕はてっきりdownyとenvyは2000年代初頭から知り合いだと思ってたんですけど、実際に交流が始まったのはdownyの復活以降だそうですね。
青木 そうなんですよ。もちろん、僕はずっとenvyのことが好きで、大学時代に福岡でライブを観たりしてるんですけど、downyを始めてからは対バンの機会がなく、そのまま休止しちゃったんです。でも、僕らが復活するタイミングで沖縄の知り合いからenvyのツアーに誘ってもらって、「いきなりenvyと?」っていう(笑)。緊張感半端なかったですよ。怖かったですしね、やっぱり。
河合 それよく言われるんですけど、僕らに怖い人一人もいないから(笑)。
青木 イメージですよ、イメージ(笑)。「当時のハードコアの人たちは怖い」っていう先入観があったんです。実際、ステージでも全くしゃべらなかったですからね。

― まあ、downyも同じくらい怖いイメージありましたけどね(笑)。
河合 僕らももちろんdownyの名前は知ってたけど、でも仲良くなる前に休止しちゃったから、もう会うことはないと思ってたんですよ。でも、突如一緒にやることになって、これくらいの年齢で、それなりにやってきた同士が初めてやるって、結構緊張感あるんです。紹介されても、「こんにちは、お疲れ様です」で終わっちゃったりするけど、でもリハを観たら、「この人たちすごい人たちなんだ」って一発でわかって。実際ライブもよかったから、その後異様なテンションで、一緒に久高島に行ってね(笑)。
青木 downyとenvyのメンバーみんな自転車で(笑)。しかも、みんな黒い服だったから、真っ黒いカラスの集団みたいなのが10人くらい自転車で聖なる島を走ってるっていう、すごい絵だったと思います(笑)。

― そこで一気に仲良くなったと(笑)。
河合 まあ、音楽的には近い部分もあれば真逆の部分もあるんだけど、ハートの部分が近かったって言うんですかね。最近そんな友達も増えました。飲みながら明け方まで言いたいこと言い合っても笑ってられるのがすごいなって。普通喧嘩になってもおかしくないくらいのこと言ってるもんね。
青木 そうですね。特に、Gotoさんが。
河合 GOTOさんは色々な意味で凄いからね(笑)。でも、そこからの友情は、今は強いものがあります。決して馴れ合いじゃない、いい関係性っていうかね。

― その後もロビンさんが東京に出てくるタイミングで「ロビン会」が開かれ、その中で「After Hours」の話にも繋がっていったわけですよね。
河合 ロビンは昔は荒くれ者だったって聞いてるけど(笑)、今は人の間に入るのがすごく上手くて、この前の「After Hours」にしても、ロビンの力がすごく大きかったんですよ。今のロビンの立ち位置って、音楽シーンにとっても大きいんじゃないかと思いますね。

― 上の世代と下の世代を繋げるポジションにいるように思います。
河合 ですよね。この間もTHE NOVEMBERSを連れて来てくれて、彼らがロビンのことをリスペクトしてるのもよくわかったし。まあ、そのときも「envyは怖い」って言われてさ、ホントいい加減にしてほしいよね(笑)。
青木 沖縄で一緒に島に行ったりした後に、リキッドで2マンをやらせてもらったんです。そのときenvyが先にリハで、ちょうどはけてるときに、僕らが入ったんですけど、やっぱりすごく緊張感があって、俺は勝手に「この人たち戦う気だ」って思ったんですよね。それですごい気合い入って、当たり前なんですけど、ライブもすごいよかったんです。沖縄のときは自分が緊張しすぎて夢うつつな状態だったんですけど、そのリキッドの日はちゃんと聴けて、それこそTHE NOVEMBERSの小林くんも来てたけど、「ヤバいっすね」って。
河合 リキッドの2マン企画っていいんですよ。俺らがTHA BLUE HERBとやったときもまったく同じ感じで、BOSSさんに「今日は勝負だ」って言われて、最後聞いたんだよね、「今日どっちが勝ちですか?」って。そうしたら、「引き分けだ」って言われて、あれは嬉しかった。downyとやったときもいい緊張感があって、すごくいい日でしたね。

 
― ロビンさんは学生時代からenvyを観に行っていたとのことですが、ロビンさんにとってenvyはどのような存在だったのでしょうか?
青木 当時ってハードコアブームだったんですけど、メロコアとかと一緒くたにされてて、その中でenvyだけ浮いてたんですよね。ちょっと暗黒感があるというか、佇まいがものすごくかっこよくて、凛としてて、あのどこにも属さない感じに僕はすごく影響を受けてます。どうしてもジャンルで括られちゃったりするけど、envyはenvyでしかなかった。なので、僕らもdownyでしかないものを作りたいと思ったし。
河合 downyはまさにそうで、新譜も聴いたけど、「じゃあ、これジャンル何?」っていう。そういうことよりも、曲の作り込みに対する情熱とか、「人と一緒じゃ嫌だ」っていう、その感じが気持ちいいんだよね。もちろん、音楽的にもかっこいいから、俺もやってみようと思うんだけど、「1234567、1234、12345……うわー、わかんねえ!」ってなる(笑)。
青木 でも、envyも変拍子ですよね?
河合 たぶん俺の変拍子って、大枠で見たときに4で収まるイメージだから、変拍子って程じゃないと思うんだけど、ロビンのはもっと理系っていうか、冷たい氷みたい。
青木 あ、新しいアルバムのテーマが「氷」なんですよ。今びっくりした。でも、僕この間の「After Hours」で一曲歌わせてもらいましたけど、実は拍子全然取れなかったんです。でも、そんな曲でもめっちゃ盛り上がるんですよね。あの熱量のすごさっていうか、あれは音楽のあるべき形だなって思いました。あの日はホントenvyの一員になれたような気がしてすごい感動したし、勉強にもなりましたね。リハスタで初めて一緒にやったときとか、「CDやん」って感じだったし(笑)。
河合 あんまり考えてやってないんだけどね。理論があるわけじゃなくて、味見てさ、塩コショウちょっと少なくしたり多くしたり、そういう感じなんだけど。
青木 envyはとにかく音がいいです。エフェクターはそんなに置いてないんですよね。
河合 置いてないね。THE NOVEMBERSの小林くんと比べると俺ら中学生みたいで、ホント恥ずかしいもん。「すくなっ!」って(笑)。
青木 ナチュラルなフェイズみたいな音してますよね?
河合 俺のはね、BOSSのRV-5のモジュレーションをかけながら、他のエフェクターをミックスするの。あとはピッキングで雰囲気も変わるから。
青木 すごい高いところでコード弾きますよね。
河合 一弦の一番上まで使うからね。
青木 しかも、それで暴れる(笑)。ネックの上の方押さえて暴れるのはできそうじゃないですか?でも、「どこ押さえて暴れてんねん」ってくらい高いところ行くんですよね(笑)。
河合 メロディーを弾きながらでも体を動かしたいと思ってたから、トレーニングして高いところで複雑な運指しながらでも動けるようになったんだけど、ストラップがずれると雰囲気が変わっちゃうから、そのミリ単位の調整が重要(笑)。

― ロビンさんは復活前と復活後で音作り変わったりしましたか?
青木 結局10年前と変わらないセットになっちゃいました。いろいろ買い足したりもしたんですけど、そこから間引きしていったら、結局同じになって。基本はジャズマスターのトーンをゼロにして、トレブルをちょっと足してあげる。サンプリングのギターみたいな、枯れた音にしたいんですよ。
河合 でも、意外と抜けるんだよね。
青木 そうなんです。もともとのジャズマスターの音だとギターギターし過ぎるんで、どれだけ枯れさせるかって感じですね。
河合 海外でツアー回ったりすると、地元のバンドがサポートしてくれて、そういうバンドのリハを見てると、ギターの音とか全然ダメだったりするんですけど、バンドの中に入るとその音がグッと出たりする。海外のバンドってそうやってバンドになったときの音が個性的で、結果的に音楽も個性的になってて、ロビンの音もまさにそうなんですよ。ギター単体の音っていうよりも、バンドサウンドとして役割がすごく明確なんだよね。
青木 裕さんがレンジ広く彩りを出してくれるので、彼が飛び道具をやってくれる分、僕は逆に枯れててもいいっていうか。裕さんは音を3Dで捉えてる感じがあって、僕打ち込みで曲作るんですけど、僕が入れたシンセの音が、裕さんから返ってくるともうそれを超えた音になってて、その時点で大体オッケーなんです。
河合 だから、もう4次元だよね。立体的な部分と、2Dな部分が混ざってる。downyはリズム隊の2人も化け物だし、個々が立ってて、誰と話しても面白いんですよ。そういう熱量を持ったバンドに出会うことってあんまりないから、ホント友達になれて光栄です。
青木 それは勿論envyも個々が立っていて最高ですよね。こちらこそ、ありがとうございます。

― 途中で少し話に出ましたが、4月に行われた「After Hours」でのenvyのステージについて、改めて振り返っていただきたいと思います。メンバーの脱退を受けて、急遽たくさんのゲストボーカルを迎え入れる形でライブが行われたわけですが、どんな感想をお持ちですか?
青木 やっぱりenvyはとんでもなく愛されてるなって思いました。ステージ裏にもすげえいっぱい人がいて、俺一曲目だったんですけど、終わって戻ったら、怖そうな人たちがみんなハグしてくれて(笑)、あの異様な愛され方はすげえなって思いましたね。
河合 一番嬉しかったのは、急な話で全然時間もない中で、声かけたゲストが誰ひとり断らなかったっていう、それはホント嬉しくて。みんなの力で何とか乗り越えることができました。

― 来年4月には「SYNCHRONICITY」との2デイズでの「After Hours」開催がすでに発表されているわけですが、今後の展望に関してはどのようにお考えでしょうか?
河合 僕らの近場っていうのかな、そこらへんが集まるフェスって意外となかったから。細かなジャンル分けは関係なく、バンド主体でいろんなアイディアを出し合いながら、カッコいい人たちが集まるフェスになったらいいなと思っています。
青木 ホントの異種格闘技みたいな感じでできたらっていうのは一個のテーマですね。
河合 昔は「飯食うための音楽」か「趣味でやる音楽」みたいな感じだったけど、俺はそういう「0か100か」みたいなのすげえ嫌で。仕事しながらでもいい音楽が創れること、面白い活動ができることをちゃんと形で示したいんです。その先に、好きとか嫌いとかを超越して、「あいつら面白そうだから、ビール飲みがてら観てみるか」みたいな、そういうシーンがど真ん中にできたら、日本の音楽シーンはもっともっと面白くなると思う。
青木 ホント、何もディスる気はないんだけど、ただのいいやつになる気もまったくないんです。今ってみんないいやつになっちゃってるから、俺らくらい暴れててもいいかなって(笑)。あとは当たり前ですけど、各々の音楽がかっこよくないと、そこにはリスペクトが生まれないわけですから、そこも常に考えてないといけないですよね。
河合 これは前にロビンとも話したことで、キモいと思われるかもしれないけど、ホントに思ってること言いますね。僕は人生の優等生コースみたいなのが嫌になっちゃって、そこから外れたわけですけど、そんな中で勘だけは研ぎ澄ませようと思って生きてきました。人生において、「これはできる、これはできない」みたいな、そういう勘がないと、僕みたいなのは生きていけない。なので、そこはずっと大事にしてきたんですけど、でも一個だけ、これはできると思い続けていても、自分の理想と現実が違うのが、音楽なんですよ。「これが全て」っていうんじゃなくて、「こういうやり方もある」っていう選択肢を作ることを目標に、それがいつか必ずできると思ってやってきたんだけど、なかなか先に進まない。だったら、ちょっとリスクを背負ってでも、めんどくさいことをやってでも、それにチャレンジしてみようっていうのがそもそもの発端なんです。
青木 それのみですよね。なので、一回俺らのことを信じてみてほしい。チャレンジしてる姿を見せないと、みんなあきらめちゃうじゃないですか?そういう意味でも、途中で言ってた気持ちの部分、コアの部分を大切にしたいなって思いますね。

― お二人の話を聞いて、来年の「After Hours」が早くも楽しみになりました。新たな選択肢の提示となることを期待しています。
河合 あとはまたいつかdownyと2マンやりたいんだよね。そのとき俺らがどういう形になってるかはわからないけど、ホントに、馴れ合いじゃなくてさ。
青木 ぜひぜひ。僕らはいつでも待ってますよ。

downy_2



envy
エンヴィー

1995年結成。
国内のみならず海外でも勢力的に活動を続ける。
北米はTemporary Residence Limited、ヨーロッパはRock Actionと契約。

2016年初頭にVoが脱退。

現在はライブやツアー等の演奏活動は行っていないが、新たな行動のために準備を重ねている。

[Official Website]
http://www.sonzairecords.com/
 -
  • 2016.09.07 On Sale
  • PECF-1140 / felicity cap-257
    [CD] ¥2,600 with tax

<TRACK LIST>

  • 凍る花
  • 檸檬
  • 海の静寂
  • 色彩は夜に降る
  • 親切な球体
  • 孤独旋回
  • 「   」
  • 乱反射
  • 翳す、雲
VIDEO


PROFILE
downyダウニー
青木ロビン(downy)×河合信賢(envy)対談2000年4月結成。
メンバーに映像担当が在籍するという、特異な形態をとる5人編成のロック・バンド。
音楽と映像をセッションにより同期、融合させたライブスタイルの先駆け的存在とされ、独創的、革新的な音響空間を創り上げ、視聴覚に訴えかけるライブを演出。ミュージックビデオの制作、プロデュースもメンバーが手掛け、世界最大級のデジタル・
フィルム・フェスティバルRESFESTに於いても高い評価を得る。日本に於けるポストロックの走りともされている。
青木ロビンは、zezecoとしての活動に加え、映画音楽制作、ゲストボーカルとしての参加、THE
NOVEMBERS等のアーティストへの楽曲提供、アレンジ、プロデュースも手掛ける。音楽以外にも、空間デザインや、アパレルデザイナー等、多岐にわたって活躍。
青木裕は、unkieとしても活動。他にMORRIE(DEAD END)ソロプロジェクト等様々なプロジェクトに参加。ギタリスト、プロデューサーの他、CDジャケットのアートワークなど、イラストレーターとしても幅広く活動している。
仲俣和宏は、fresh!、YakYakYakとしても活動。
秋山タカヒコは、fresh!、BUCK-TICKの櫻井敦司が中心となって結成したTHE MORTALのメンバーでもある。長澤知之、スキマスイッチ、清春、黒夢、小南泰葉、ナオト・インティライミ等、レコーディング、ライブに多数参加。
石榴は、JUNO REACTOR 、VIOLET UK、SUGIZO、カンヌMIDEMショウーケース、GoldenEggs他、多数の公演映像演出を手掛けたりと国内外で活動中。
2004年活動休止以来、メンバー各々の活動は更に多岐にわたり、現在もなお、国内外のアーティストからの支持も多く、注目度も高い。
現在までに、5枚のオリジナルアルバム、第五作品集のremixアルバムをリリース。
2016.9.7 第六作品集をリリース。


[Official Website]
http://www.downy-web.com/
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  • 2016.09.07 On Sale
  • PECF-1140 / felicity cap-257
    [CD] ¥2,600 with tax

<TRACK LIST>

  • 凍る花
  • 檸檬
  • 海の静寂
  • 色彩は夜に降る
  • 親切な球体
  • 孤独旋回
  • 「   」
  • 乱反射
  • 翳す、雲
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