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ドイツの映画監督ファスビンダーが、書き遺した演劇のための戯曲を、世田谷パブリックシアターにて、二本同時上演!音楽は石橋英子が担当!!

  • 2015.04.26

eiko-ishibashi_600jpg鬼才として知られるドイツの映画監督ファスビンダーが、書き遺した演劇のための戯曲を、世田谷パブリックシアターにて、二本同時上演!
再演となる<「ゴミ、都市そして死」主演:緒川たまき>は石橋英子がバンドで、<「猫の首に血」主演:朝比奈かず>は即興で生演奏!!



SWANNY Vol.7

ファスビンダーの

「ゴミ、都市そして死」 Der Müll, die Stadt und der Tod

「猫の首に血」 Blut am Hals der Katze

二本同時上演のお知らせ


2015年6月25(木)-28日(日)
会場:世田谷パブリックシアター

鬼才として知られるドイツの映画監督ファスビンダーが、
1970年代に書き遺した演劇のための戯曲を、
世田谷パブリックシアターにて、二本同時上演!

「ゴミ、都市そして死」主演:緒川たまき
「猫の首に血」主演:朝比奈かず

ドイツの著名映画監督で、鬼才として知られるファスビンダーが1970年代に書き遺した
演劇のための戯曲を、二本合わせて上演します。
取り上げるのは、女性が主人公の二作品。
月面上の都市に生きる美貌の娼婦と、地球に落ちてきた宇宙人の女の子の物語です。

(SWANNY主宰・千木良悠子)


【概要】

2012年のファスビンダーの没後30周年をきっかけに、日本でもDVDリリースや特集上映、インタビュー集の翻訳などが続々と行われ、新たなファンが増え続けている状況にあります。ファスビンダー監督は、キャリアの初期に、ミュンヘンで「アンチ・テアター」という演劇集団を率いて活動しており、その映画の常連俳優のほとんどは、彼の劇団のメンバーでした。劇団の舞台映像資料などは残っておらず、現在見ることはかないませんが、彼の映像作品にはしばしば演劇的とも言えるアプローチが見られ、その膨大なキャリアの中で、演劇活動は非常に重要な位置を占めていると思われます。

作家・演出家の千木良悠子を中心とする劇団SWANNYでは、2013年10月25-27日の3日間、新宿の紀伊國屋ホールにて、戯曲「ゴミ、都市、そして死」を初上演し、大きな話題を呼びました。今回、世田谷パブリックシアター公演を行うにあたって、その再演と、新作「猫の首に血」との二本立て上演が決定。ドイツ文学者の渋谷哲也氏、翻訳家・映画評論家の柳下毅一郎氏の協力のもと、「猫の首に血」の日本語台本を作成。6月25日-28日の四日間で「ゴミ、都市そして死」を三回、「猫の首に血」三回、と続けて上演することになりました。

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー(Rainer Werner Fassbinder)

 1945年ドイツ・バイエルン生まれの映画監督、脚本家、俳優。ミュンヘンでの自主演劇活動を経て、1969年長編映画第一作『愛は死より冷酷』を発表。生涯に残した映画は45本、戯曲は未発表のものを含め18本。1982年、『ベロニカ・フォスのあこがれ』
でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞、名実ともにドイツを代表する芸術家となるが、同年37歳で急逝する。

【「ゴミ、都市そして死」あらすじ】

舞台はナチスと第二次大戦を経た、冷戦下ドイツの都市フランクフルト。しかしながら、そこは月面上でもあり、台本の冒頭には「...というのも月は地球のとりわけ都市部と同じく、人の住めないところだから」というト書きがあります。

物語は街娼たちが路上で朝食をとっている場面から始まります。主人公の娼婦「ローマ・B」は、恋人フランツ・B
に日々暴力をふるわれ、抑圧的な関係を強いられています。ローマが街頭でなかなか客が取れずにいるところに、資産家のユダヤ人男性が現れ、多額の報酬で彼女を買い取ります。ユダヤ人男性は街の再開発計画を推進している人物であり、彼に囲われたローマは突然裕福になるのですが、そのため、恋人フランツとの関係のバランスが崩れ、ますます絶望の淵に叩き込まれていきます。

そのうち、キャバレーに女装の歌手として勤めているローマの父親、ミュラー氏がナチ時代に金持ちユダヤ人の両親を殺害していたことが判明する、といった経緯があり、しだいに街全体の構造そのものが、根底的にはナチ時代と大きく違わぬ、支配と抑圧を屋台骨とした恥辱的な代物であったことが暴かれていきます。
ローマは自ら、街の生贄となりたいと言い残してユダヤ人に殺され、フランツはその最もふさわしい代理人
として、警察署長ら都市の居住者たちによって、殺人犯に仕立てあげられるのです。
「愛は死より冷酷」というタイトルの映画まで撮っているファスビンダーは、最も素晴らしい愛すらも、個々の人間どうしの抑圧的な関係性の中にしか生まれ得ない惨めなものであると語っています。人間の卑小さと残酷性を、スクリーンに溢れ零れる美しい光と不思議な陶酔との中に描くファスビンダー作品の特性が、際立って顕現しているのが、この「ゴミ、都市、そして死」という戯曲であると言えます。

本作は、1974 年、彼がフランクフルトの公立劇場の芸術監督になった際に書き下ろされたものであり、1975
年にダニエル・シュミット監督により、「天使の影」というタイトルで映画化されています。ファスビンダーの死後、ニューヨーク、コペンハーゲン、ミラノ、イスラエル等で次々と上演されましたが、日本での上演は、翻訳者の渋谷哲也氏によれば、2103
年の SWANNY 紀伊國屋ホール公演が初とのこと。

紀伊國屋ホール公演と同様、石橋英子氏のバンド「ぎりぎり達」のライブでの参加が決定。アメリカのレコードレーベルDrag
Cityでリリースされた新作アルバムが、英Wire誌で紹介されるなど、国内外で広く活躍する石橋英子氏のサウンドディレクションに加え、ジム・オルーク、山本達久、須藤俊明、坂口光央という実力派ミュージシャンが、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」のバンドアレンジなど、台本に指定された多数の楽曲を生演奏します。また昭和歌謡歌手として人気の渚ようこ氏、バンド「メトロファルス」のリーダー伊藤ヨタロウ氏の歌唱シーンのほか、男性俳優たちのボンデージ衣装をまとったダンスシーンなど、さまざまな趣向を凝らした豪華な音楽劇です。


【「猫の首に血」あらすじ】

舞台はどこかの街の大通り。中央に設えられたアームチェアーに腰掛けているのは、宇宙の遠い星から、人間の社会がどれほど民主主義的かを査察するために送り込まれてきた美少女、フェーベ・ツァイトガイスト。彼女は人間の言語を、単語だけまるまる暗記してきたのですが、意味は理解していません。

やがて現れるのは、警察官、肉屋、教師、兵士、ヒモ、少女、モデル、女主人、兵士の未亡人といった街
の人々。初めは一人ずつの独白、次に二名ずつペアになって、さまざまなシチュエーションに応じて会話をします。万引き犯人の少女とそれを見咎める大人、借金を背負って諍いする夫婦、子どもに体罰を与えるべきだと主張する教師と母親、娼婦に金をせびるヒモ、洗車機を売りつけようとする営業マンとその客、等々......。人生の苦みや愛の虚しさに絶望した彼らの交わす言葉は、互いを利用しようと躍起になり、罵り
合う、非常に醜悪なものです。フェーベは彼らの台詞を覚えたそばから発声してゆきます。

全員が一同に会するパーティーのようなラストシーンでは、フェーベが今までの台詞を鸚鵡返しにするのを聞いて、泣いたり怒ったりする人間が続出。詰め寄られて初めて立ち上がったフェーベが、吸血鬼のように人々の首筋を噛むと、彼らは転倒し、言葉を忘れて、地面に這いつくばります。言語を理解する力を
失って人々が痙攣する中、最後にフェーベが、人間の言語認知能力についてひも解く、ヘーゲル『大論理学』の一節を暗誦、芝居は幕を閉じます。

本作では、いかに真っ当なコミュニケーションを希求しようとも、経済的な活動においても個人的な人間
関係においても、他者を食い物にして生きざるを得ない戦後資本主義社会で、深い傷を負った登場人物た
ちの姿が描かれており、獰猛でありながら言語による相互理解のし方を忘れてしまった彼らは、作品タイトル上で「猫」に喩えられています。発表された1971
年という時代に相応しい、実験精神とブラックユーモアに溢れる戯曲です。石橋英子氏によるシンセサイザーノイズの即興演奏、最注目ダンサー・辻田暁氏の振付でお送りします。




公演情報

SWANNY Vol.7  ファスビンダーの
「ゴミ、都市そして死」 Der Müll, die Stadt und der Tod
「猫の首に血」 Blut am Hals der Katze  二本同時上演

2015年6月25(木)-28日(日)会場:世田谷パブリックシアター

●「ゴミ、都市そして死」Der Müll, die Stadt und der Tod
作 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
翻訳 渋谷哲也
演出 千木良悠子

出演 緒川たまき、若松武史、仁科貴、渚ようこ、伊藤ヨタロウ、顔田顔彦、仲坪由紀子、小林麻子、石橋穂乃香、安元遊香、猫田直、金子清文、木村健三、鈴木将一朗、石川ゆうや、ナカムラユーキ、高松良成、中村祐太郎、新井和之、河井克夫

音楽・ライブ出演 石橋英子 with ぎりぎり達(ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、坂口光央)
振付 スズキ拓朗



●「猫の首に血」Blut am Hals der Katze
2015年6月27日(土)、28日(日)

作 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
翻訳 渋谷哲也、柳下毅一郎、千木良悠子
演出 千木良悠子

出演 朝比奈かず、辻田暁、山田キヌヲ、鬼頭典子、小林麻子、宮崎吐夢、金子清文、若松力、今奈良孝行、鈴木将一朗

音楽・即興演奏 石橋英子
振付 辻田暁



●会場 世田谷パブリックシアター
〒154-0004 東京都世田谷区太子堂4丁目1番地1号 キャロットタワー3階
TEL:03-5432-1526(代表)



●開演時間
A「ゴミ、都市そして死」B「猫の首に血」

25日(木) 19:00 A
26日(金) 19:00 A
27日(土) 13:00 A 19:00 B
28日(日) 12:00 B 16:00 B

(ロビー開場は開演の1時間前、客席開場は開演の30分前です。当日券の販売は開演1時間前から行います)

●料金

S席(1階、2階):前売5,300円、当日5,800円 /A席(3階):前売3500円、当日4000円
2公演セット券:10,000円 友の会会員料金:S席4,800円 アーツカード会員料金:S席5,000円 U24(3階席のみ):2800円

●前売開始
一般発売日 5月8日(金)
友の会会員先行発売日 5月6日(水)
アーツカード会員先行発売日 5月7日(木)

●チケット取り扱い

ぷれいす ☎︎03-5468-8113(平日11:00~18:00)http://www.place-net.co.jp
e+ WEB http://eplus.jp
ローソンチケット ☎︎0570-084-003 WEB http://l-tike.com/
チケットぴあ ☎︎0570-02-9999 WEB http://t.pia.jp
世田谷パブリックシアターチケットセンター ☎︎03-5432-1515

●お問合せ

メール info@swanny.jp
DISK GARAGE ☎︎050-5533-0888 (平日12:00~19:00)

●詳細は www.swanny.jp

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