上海出身、日本で育った天才SSW、王舟。
彼が新たに作り上げた最新作「PICTURE」は、多彩なゲストを集めバンド演奏で制作された過去すべての作品とは打って変わって、たったひとり、すべて自宅で作り上げた宅録作品です。
その作品に収録されているフォークナンバー『あいがあって』を、大阪の友人ミュージシャン達と共に演奏、撮影したMVが公開されました。
大阪にあるHOPKENを舞台に、neco眠る、白い汽笛、CASIOトルコ温泉、And Summer Clubなどのメンバーが集結して撮影されています。
https://youtu.be/yjJF6gALMGY
また、「PICTURE」の特設サイトも公開となっています。
http://picture.ohshu-info.net/
こちらのサイトでは、ライターの松永良平が今作に寄せた文章が読めるほか、今後インタビューなども追加となる予定です。
また、リリースを記念したツアーの詳細も発表となりました。
ソロでのツアーは夏目知幸(シャムキャッツ)などをゲストに各地ツーマン形式。
ファイナルの大阪シャングリラ、東京リキッドルームで披露される初のビッグバンド編成メンバーも発表となっています。
今までのメンバー5人に加え、annie the clumsy、小林うてな(D.A.N.サポート、ex鬼の右腕)、増村和彦(ex森は生きている)など6名が加わった、計12人編成でのライブとなります。
千鳥足で階段を上がる。そうそう、そんな感じ。
王舟のセカンド・アルバム『PICTURE』を再生して、最初に出てくる「Roji」という曲に、心が足許をすくわれそうになる。ずれながらスイングするリズム。おぼつかない。ざわざわする。なんなんだこの曲は。まるでぼくらの毎日かと思う。
このアルバムで王舟は、完全にひとりで宅録を貫いたと聞いた。だが、不思議なことに、さびしさや厳しさはまるで感じない。音は緻密に重ねられ組み合わされているようでいて、ヒューマンエラーを許容するフレンドリーなぬくもりがある。部屋に閉じこもっているはずなのに、音は開かれている。まるで暗くなってきた夕方に吐く息の白さを発見するような、ごく当たり前の美しさが宿っている。無理してくさい言い方を探してすべてを解き明かす必要は、もうないのかもしれない。もはや言葉すらない「冬の夜」「lst」が、ただ鼓動のように寄り添って、気持ちをたまらないものにさせる。こたつの中にいながら宇宙に放り出される、王舟が描く“2016年宇宙の旅”。
「もしもし聞こえますか?」地上の誰かと交信したい。恋しい誰かのことを思いたい。でも、今はひとりでいるのもいい。どれが正しいとかじゃなくて、そのすべてをぐるぐると抱えて人は生きているし揺れているし踊ったりする生き物だ。宅録ヴァージョンの「ディスコブラジル」が、踊るぼくらのそばをキラキラと通り過ぎてゆく。
バンド編成で臨んだファースト・アルバム『Wang』と対称をなすように、ひとりで制作された『PICTURE』ができた。ライヴで長い間練り上げられてきた歌ものの楽曲を中心にしていた『Wang』に対し、『PICTURE』では約半数の5曲がインストゥルメンタル曲。『Wang』以降の王舟のイマジネーションが結晶化してゆくさまを追った長回しのフィルムのような趣もあるし、アルバム・タイトルが示すように、一枚の絵に塗り重ねられたその物語をぼくらが投影させているだけなのかもしれない。タイトル曲「Picture」を聴くと、部屋に掲げられた一枚の絵に映る知らない景色の、会ったこともないけど昔からよく知っている幻の人間たちが、勝手にわいわいと宴で歌い始めたような錯覚にとらわれる。それって遠い昔に『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』でザ・バンドがやろうとしたことと、おなじことなのかもしれない。
どきっとするほど率直な「あいがあって」を聴き終えて、ラストの「Port Town」へ。冬の夜のさびしい港町にこだまする人の声。今はさびしいけれど、確かにここには人がいたんだと思う。知らない場所にも、自分が死んだ後の世界にも、自分とおなじような誰かがいるはずだ。タイランド、ブラジル、アメリカ、宇宙、ぜんぶ行ったことない王舟が自宅でつくる未来には、そう信じさせてくれる力がある。
アルバムを一回りして、もう一度「Roji」へ。音楽に酔った千鳥足で階段を上る。ドアを開けると、そこには見たこともない世界があって、でも懐かしい友だちがいつものようにわいわいとやっていた。
王舟『PICTURE』へ。
文章・松永良平(リズム&ペンシル)
PICTURE Release Tour (Alone)
※ソロでのツアーです
ソロツアー予約フォーム
https://ssl.form-mailer.jp/fms/6dc37f5d407757
2/11(木・祝)
愛知・名古屋 西アサヒ
開場18:30 / 開演19:00
前売2,500円 / 当日3,000円(+1D)
出演
王舟 / inahata emi
supported by jellyfish
2/13(土)
京都 喫茶ゆすらご
開場18:00 / 開演19:00
前売2,500円 / 当日3,000円(+1D)
出演
王舟 / 畳野彩加(Homecomings)
supported by SECOND ROYAL
2/14(日)
広島・尾道 浄泉寺
開場18:30 / 開演19:00
前売2,500円 / 当日3,000円(+1D)
出演
王舟 / 白い汽笛
supported by 亀吉
2/18(木)
福岡 STEREO SIDE-B
開場19:00 / 開演19:30
前売2,500円 / 当日3,000円(+1D)
出演
王舟 / 夏目知幸(シャムキャッツ)
supported by BEA
2/20(土)
北海道・札幌 キノカフェ
開場19:30 / 開演20:00
前売2,500円 / 当日3,000円(+1D)
出演
王舟 / 夏目知幸(シャムキャッツ)
supported by トトノワールズ
2/21(日)
宮城・仙台 BAR&EVENT HOLE Tiki-Poto
開場19:30 / 開演20:00
前売2,500円 / 当日3,000円(+1D)
出演
王舟 / 夏目知幸(シャムキャッツ)
supported by 風呂ロック企画
PICTURE Release Tour (Big Band)
※初となるビッグバンド編成でのワンマンライブです
3月5日(土)
大阪・梅田 Shangri-La
開場17:30 / 開演18:00
前売3,000円 / 当日3,500円(+1D)
(チケットぴあ(P:283-756)/ ローソンチケット(L:55464) / e+(Pre:12/22-27) / FLAKE RECORDS)
supported by SMASH / VINTAGE ROCK
3月13日(日)
東京・恵比寿 リキッドルーム
開場17:00 / 開演18:00
前売3,000円 / 当日3,500円
(チケットぴあ(P:283-826)/ ローソンチケット(L:77924) / e+)
supported by VINTAGE ROCK
ビッグバンド編成メンバー
王舟(Vo,Gt)
岸田佳也(Dr)
池上加奈恵(Ba)
潮田雄一(Gt)
みんみん(Key)
山本紗織(Flu)
高橋三太(Tp)
荒井和弘(Trb)
大久保淳也(Cl,Sax,Flu)
増村和彦(Per)
小林うてな_(Steelpan,Marimba)
annie the clumsy(Cho)
『あいがあって』MV
『ディスコブラジル』MV
王舟
「PICTURE」
2016.1.20 on sale
PECF-1131
felicity cap-246
定価:¥2,500+tax
全11曲収録
01. Roji
02. Hannon
03. Moebius
04. 冬の夜
05. lst
06. ディスコブラジル (Alone)
07. Hannon (Reprise)
08. Picture
09. Rivers
10. あいがあって
11. Port town