INTERVIEW

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PLASTICZOOMS スペシャルインタビュー

  • 2013.10.02

PLASTICZOOMSのサード・アルバム『CRITICAL FACTOR』は「生きている」。この世界で、様々な人間と交わりながら、そこで生まれるノイズや摩擦、そこで育まれる喜怒哀楽の感情を、「音楽」というアートフォーム、「バンド」というフォーマットで表現しきったアルバムだ。そして、重要なのは、PLASITICZOOMSがそうした作品を生み出したのが初めてだということである。

前作『STARBOW』は目の前に宇宙が広がっていくような、幻想的で美しい風景を描き出した傑作だった。音楽的冒険、SHO ASAKAWAの美意識と世界観、すべてがきわめて高度なレベルで具現化されたアルバムだった。しかし、今こうして新作ができてから振り返れば、そこにはもっとも重要な要素――すなわちクリティカル・ファクターが欠落していたのかもしれないと思う。その重要な要素とは、アーティストといえども人間であり、この世界で確かに息をしているというリアリティである。人の「生」の中からしかアートは生まれないという真実である。『STARBOW』はSHOの頭のなかにある宇宙を表現した作品として素晴らしかったが、あえて言うならば、そこに「バンド」はいなかったのである。

しかし、『CRITICAL FACTOR』はまったく違う。サウンドには彼らのライブを髣髴とさせるようなエネルギーとテンションが宿り、歌詞にはSHO自身の生活の中でのリアルな感覚が落とし込まれている。そこには、あらゆる感情も、SHO自身の原体験も、友とのかかわりも、そしてPLASTICZOOMSをサポートするリスナーひとりひとりの存在も、すべてが投影されている。PLASTICZOOMSはどうして変われたのか?

『STARBOW』以降、PLASTICZOOMSは自身のブランドからフレグランスやネックレスをリリースし、またファッションを纏うように音楽を聴いてほしいというコンセプトのもとにシングルを制作し、「Die Kusse」と題された自主イベントを企画し、またあらゆる分野のアーティストやブランドとのコラボレーションも積極的に行ってきた。そうやって彼らは自分たちの居場所を生み出してきたのだ。SHOのネガティヴで刹那的なモチベーションからスタートしたPLASTICZOOMSだが、多くの人とかかわるなかで、少しずつ世界を押し広げ、閉ざされたドアが開き始めた。その帰結点が、この『CRITICAL FACTOR』である。音はパワフルで尖っているが、そこに広がるビジョンは眩いほどに明るい。その輝きは、PLASTICZOOMSの未来の輝きである。


――『STARBOW』とは全然違うアルバムですよね、聴いた感触が。
SHO うん。密度が違う。『STARBOW』が終わった後にすぐに制作に取りかかったんですけど、(『STARBOW』で)出来なかったことを次で全部やろうと思って。それに、あのアルバム、実はガチガチで作っていて。緊張もしてたし、あと……あのアルバムに関してはジンクスを結構作っちゃっていて。やっちゃいけないことっていうか。それを取っ払ったっていうのがデカいと思います。だからハードな曲だったり、パワーコード押しの曲とか、ビートもそうだし、リズムの音色とかも、自分で決めていたことをぶっ壊して作れましたね。
――ぶっ壊そうと思ったのはどうしてなんですか?
SHO 僕、いままで、教わったこととか自分で勉強してきたことを軸に作っていたんですけど、今思うと、その中に本当に好きなものというのがちょっと薄かったんだと思って。自分の本当に好きな音、好きな展開、好きな声質、質感、音の近さとかっていうのを……なんだろうな、教科書に寄せちゃってた部分っていうのもあったんですよね。でも、それに全然気づいていなかったんですよ。このアルバムを作り出してちょっとしたくらいに、「あれ? これってもしかして自分で決まり事作ってるのかな」と思って。で、自分自身をちゃんと噛み砕いて、変わろうとしましたね。そろそろ自分を信じて、自分が思った通りにやろうと。
――結果、出来たものに対しては、ものすごく思った通り?
SHO 思った通りです。ビジョンがはっきりしているから、迷わないです、一切。一曲一曲をどこの落として、どれを軸にしてどれに寄せていくか。最終的にはどういうアルバムが出来るかを最初に決めないといけないと思って作ったので、すごく密度の高い作品にはなったな、と思っていて。トータルバランスとして。
――自分の好きな音とか自分の好きな質感、っていうのは、もう少し具体的に言うと、たとえばどんなものなんですか?
SHO 70's PUNKを土台にした僕が聴いたThe Strokes、あれ以降。あの時の音、僕らって一番クラブで聴いている音じゃないですか。それの前、90年代、聴いていないほうをすごく勉強したんですよ。『STARBOW』だと80sの背景がすごくデカいと思うんですけど、そうじゃなくて90年代をもっと掘って、具体的に、バンドとかじゃなくてファッションとかもそうだし、当時流行っていたもの、柄とか、絵とかを起点に音に広げましたね、僕。そこを勉強しつつ、ルーツの空気感を体現できたらなとは思って。ビート感が80sを意識した作品というよりは、トータルでいろいろなビートを使っていますし。でも、ダンスビートはそこまで使ってない。そこが2000年以降の、ポストパンク・リバイバルみたいな感じで言われていたサウンドとの差だし、リバイバルをものすごく感じていた僕らだからできたというか。それと同じようにはしたくなかった。あとレコーディングをするときに気をつけていたのは、高級感。安っぽくならないように。今回打ち込みのドラムも結構使ったので、どうしてもそれを使うと安っぽくなるじゃないですか。それは絶対だめだなと思っていて。僕はそういう盤が嫌いだったから。参考にしていたのは、あげるとすればPhoenixとか。あの質感すごいですよね。打ち込みなのにものすごい高級感があるし。それってトータルバランスがいいっていうところに尽きると思っていて。
――今回すごく音が強いよね。
SHO ミックスのときに、それは結構頼みました。ここまで出して欲しいって。クラブで聴いたときに身体が揺れるような感じを出して、とか。意識しましたね。
――制作は順調だったんですか?
SHO そうですね。順調ではありましたね、1年半かかっちゃいましたけど。『STARBOW』がリリースされてすぐ、一番最初に“SAKURA”を作ったんですよ。“SAKURA”を作って、あ、これはいけるなと思って、どんどん作って、一番最後に出来たのがに“MONOCHROME”かな。“A V△W“っていう曲は、もともとライブでずっとやっていたので、音源に入れたいなとは思っていたんですけど、どこにいれようかなとは思っていて。ちょっとぶっ飛んでいたので(笑)。でも今回、うまい感じに繋がりました。レコーディングはポンポンといきましたね。デモは僕が全パート100%作っているので。それをメンバーに渡して、デモを超えるまでリハして、それをRECして、っていう感じですね。今回も僕の家で録ってたりもして。Pro Toolsで録ってます。アンプとかはスタジオに行って録ってたりはするんですけど、その大元の素材とかは、全部僕の家で録ってるし、ドラムとかも僕が全部打ち込んでいます。
――そのわりにすごくライブ感がある。
SHO それはすっごい意識したんですよ。生まれて初めてライブを想定した音源を作りました。多分お客さんが、ここで踊るよなっていう感じとか、大分意識しましたね。今まで全然意識しなかったんですけど。曲がよければそれでいいし、曲はライブをやるために作らないと決めてたんで。でも、今回は音源とライブ同じように考えました。自分がライブをする環境を受け入れたというか。ライブをしたいなと思えるようになったというのがきっかけですね。
――もともと嫌いなの?(笑)。
SHO あんまり好きではないです(笑)。というか、もともと大っ嫌いです。すごいネガティヴな発想だったので、自分は歴史に残るような作品は作りたいとは思っていたけど、人の評価は全然必要としなかったというか。自分は人前に出るような人間じゃないのにとか、すごいネガティヴになっていた時期がすっと続いていたんですよね。でもようやく自分の壁のようなものを取っ払って、音源とステージとを並列に考えることができた。メンバーやスタッフがいるってちゃんと思えたのが大きいんですよね。今まで誰かに支えてもらおうなんて一回も思ったことなかったけど、思ってなかったところで、支えてくれるメンバーがいたんです。親身になってバックアップしてくれたり、自分のやりたいことを聞いてくれたり、尊重してくれるメンバーやスタッフがレーベルいたから、その人のためにフレーズを作って、ステージに立っている絵を想像しながら曲作りをしようと思って作りましたね。だから結構いろいろな心境の変化が曲に生きていると思います。
――こう言っては何だけど、このアルバムを聴いて初めて、PLASTICZOOMSってバンドだったんだなって思った。何が変わったんだろう?
SHO 信じられるようになった。人のことを信じたいと思ったのがデカいかな。信じるってことは頼るって事じゃないですか。頼ってみようっていうので、変わったのかなと思います。
――どうして信じようと思ったの?
SHO 「もうちょっと楽に生きたら?」ってある人から言われて。簡単に言われたんですけど、それを超真面目に受けちゃって、僕。そんなこと言われたことなかったので。今まで全部自分で背負って、全部自分のせいだと思っていたんです。でも「みんな」っていう言葉を使ってみようかなって。メンバーに対しても、今まで手取り足取り、ここはこの感じ、ここは絶対こうだからって教えていたのを、任せたっていうか。そうしたらみんなが物凄く試行錯誤してやってくれるんですよ。苦労してくれた。その分の時間が自分に返ってくるわけじゃないですか。そうすると、やれることがもっともっと増えて、どんどん曲がよくなっていった。バンドとして作品に向かい合ったっていうのはデカいです。「バンドをしている」っていう意識がありましたね。
――『STARBOW』以降、活動そのものが変わりましたよね。いろいろなところに手を伸ばして、いろいろな人と繋がって、いろんな世界を広げてきたっていう時間だったと思うけど、そういうのも影響してるのかな?
SHO 多分、THE NOVEMVERSとの出会いはね、デカいと思います。なんでかと言ったら、小林(祐介/THE NOVEMBERSのVo・G)君がものすごく繋がりを大事にする人だったっていうのが、自分に全くなかった部分だったりもして。繋がろうという姿勢がね。僕は結構、仲よくなっちゃえば仲いいんだけど、全然気が合わないと思ったら全部そっぽ向くのね。でも、彼は一回向き合うっていうのをしている気がして。すごく素敵だなと思いました。彼は僕にちょっと近くて。全部背負っちゃっていたから……まあ、背負っていたかはわからないけど見てて、話しててそう感じて。それを見て、僕、もうちょっと頼ればいいのにって思ったんですよね(笑)。もうちょっと周りを利用するじゃないけど、力抜いたほうがいいよっていう。がんばりすぎず、もう少し遊ぼうよって。でも、よくよく考えたら……。
――「そういえば俺だ」って?(笑)。
SHO そうそう。「俺だよ、これ」って(笑)。そこから、彼に思うことが自分であったりするから、「あ、そうか。これ、もうちょっと僕がやらないといけないのかな」とか思ったりもして。彼ね、すごく話が合う。馬が合うっていうのはこれだなとは思っていて。だから、辛そうって思ったら向こうも同じことを思っているし、向こうを見ていると俺を見ているようだし。こういうタイプの友達は初めてかな。やっぱり、僕がひとりでがむしゃらにやってたことに仲間が入ってきたっていうのは僕にとってものすごい強みで。しかもひとりやふたりじゃなくて、僕が頼ってみようと思った瞬間からバンドメンバーもまわりのスタッフも、これまで仲良かった友達も一気に……だからすごく心のゆとりができたし、歌詞とかにも反映されてて。ちょっと開けた世界を個人的に歌ったりしてますね。
――でも、それは前からそうだったのかもしれない。SHO くんのほうでドアを閉めていただけで。
SHO 多分閉めていたんだと思う。今になって思うんですけど、俺がそれをされたらすごい悲しいんですよね。自分がそうだったところのような人間を見たときに絶対教えたいと思った。助けられたがらない人。そうすると人間はどんどん狭くなって、芸術家だったら作品にダイレクトに反映されてしまうから、危険だなとは思いました。
――だから「人間」がいるんだよね、このアルバムには。『STARBOW』もあれはあれで美しい宇宙を描いているんだけど、あの宇宙って何かといったらSHOくんの頭の中にあるものでしかなかったんだなあと今となっては思う。
SHO そうですね。
――それはそれでひとつのアートとして正しいけど、でも実際生きていると世界ってそういうものでもないわけですよね。いろんなノイズがあったりいろんな予期せぬことが起きたり、いろんな人と繋がったりしている中で生きてるリアリティみたいなものがこのアルバムにはあって。人間がいて、世界があるというか。
SHO あー、そうかも。
――SHOくんはずっと、自分には居場所がないだとか、居心地が悪いだとか、自分はマジョリティじゃなくてマイノリティだとか、そういう気持ちがどこかにあって。それが表現の動機になっている部分もあったと思うんだけど、最近のPLASTICZOOMSの活動を見ていると、居場所はあるし、これを広げていけばいいんだっていうところに気付けたのかなと思ったんだよね。
SHO それはすごくあるかも。ちゃんとこう……人が聴いてくれている感覚。自分の作品に触れて、それを聴いたときに涙してくれる人がいるのを見た時のあの感覚。僕の中では信じられない光景だったし。僕は僕で、僕が書いた曲は僕しか泣けないと思っていたから。だから不思議だったんですよね。それを今のメンバーは感じてくれて、僕が悲しい曲を作ったら悲しんでくれるし、怒った曲を作ったら、演奏しているところを見ると怒ってるし。すごい嬉しかったですよね。人間っていいなって思えたんですよね。今までは人間=僕を抑えつける、人間=僕がやることに対して非難する、としか思ってこなかったけど。『STARBOW』以降作ったものをちゃんと見てくれる人が増えて、ちゃんといいと言ってくれる人も増えたし、ライブをやる度に人が増えていくっていう現状も見えてきて。逆にそれが大変になることもあるけど、それよりもどんどん自分の世界が広がっていくという部分で、自信もつきましたね。
――今までと真逆になったよね。居場所がないっていうことからスタートするんじゃなくて、居場所を作るためにちゃんと表現していかないといけないんだっていう。
SHO そう。自分のやりたいことが世の中にヒットする団体だったり場所がないんだったら自分でやるんだっていう心がものすごい爆発している。自分がパイオニアなんだっていうことに完全に気づいたのは凄くデカいです。自分みたいにマルチな人間は他にいないから。メンバーがいてスタッフがいて、その人達が共感してくれているという部分で幸せですね、今は……幸せって思えているのは初めてかもしれない、生きていて。
――初めてPLASTICZOOMSを観た時のこと、覚えてる。『CHARM』が出る前かな。危なかったよ、あの時のSHO くん。
SHO あの頃は、いつ死んでもいいと思ってたもん。ライブなんてクソだと思いながらやっていたから。ライブなんて見せたくないから目眩まし様にストロボ使っていたし。嫌がらせだなと思う、今思うと(笑)。本当に心がメチャクチャだった。だってあの時、ライブ終わってちゃんとした記憶があること殆どなかったもん。身体グチャグチャだし、これは危ないなとも思ってた。ライブやるなとも言われたこともあった。メンバーも触れちゃいけない感を出してくる時期もあったし(笑)……でも、いろんなことがあってようやく、健康的とまでは言わないけど、「与える人間」としてまっとうな基準が自分の中に出来たのかなとは思って。自分がちゃんと生きていないと人のためにならないし、人のために尽くす、アートに尽くすっていうことにはならない。そういう価値観が芽生えてきているのは確かですね。
Text by Tomohiro Ogawa (ROCKIN’ON JAPAN)

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  • 2013.10.02 On Sale
  • PECF-1080 / felicity cap-183
    [CD] ¥2,381 with tax

<TRACK LIST>

  • MONOCHROME
  • RAVEN
  • MANIAC
  • P A R A D E
  • SAKURA
  • RUBBERS
  • A V△W
  • CRACK
  • LIVE IN THE MIDDLE OF SADNESS.
  • BYE.BYE. -PIANO VERSION-
VIDEO


PROFILE
PLASTICZOOMSプラスチックズームス
PLASTICZOOMS スペシャルインタビュー

音楽業界のみならずファッション界からも人気を集め、海外にもコアなファンを持つPLASTICZOOMS。 前作、2nd アルバム「STARBOW」発売以降、自身のブランドからフレグランス、ネックレス等のファッションアイテム、そして音楽=ファッションの価値観でリリースされた3 枚のライブ会場限定CD シングル、7inchシングルを経て、新体制による3rdアルバム「CRIMINAL FACTOR」のリリースが決定!

◆OFFICIAL SITE
http://plasticzooms.net/

◆FACEBOOK
https://www.facebook.com/Plasticzooms

◆TWITTER
http://twitter.com/#!/PLASTICZOOMS

◆BLOG
http://plasticzooms-sho.blogspot.com/

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  • 2013.10.02 On Sale
  • PECF-1080 / felicity cap-183
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  • MONOCHROME
  • RAVEN
  • MANIAC
  • P A R A D E
  • SAKURA
  • RUBBERS
  • A V△W
  • CRACK
  • LIVE IN THE MIDDLE OF SADNESS.
  • BYE.BYE. -PIANO VERSION-
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