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downy スペシャルインタビュー

  • 2013.11.20


downy スペシャルインタビュー


〈伝説〉になる前に、9年の年月を経てdownyが戻ってきた。バンドが活動休止中、それぞれのメンバーはソロ・プロジェクトに専念していたが、そんな彼らがツィッターでdowny再始動をアナウンスしたのは昨年のこと。そして、約束通りに届けられた第5作品集は、変拍子のビートやアブストラクトなギターなど〈downyな音〉が刻み込まれていながら、その鋭さや強靭さはさらに深化。バンド・メンバー全員が「downyとは何か?」と自分自身に問いかけたようなアルバムだ。再始動から新作制作までの経緯を、バンドのフロントマンの青木ロビンに話を訊いた。


――実に9年ぶりの新作ですが、青木さんにとってこの9年間はどんな時間でした?
「音楽以外にやりたいことがいっぱいあって、それをこなしていく時間でした。バンドをやってる時って、音楽しかできなかったんですよ。音楽を聴いてても〈これ、どんな風に作ってるだろう〉って考えたりして、ほんとはただ音楽が好きなだけなのに、単純に音楽を楽しむことができなくなってしまった。それに疲れたっていうのもありましたね。それで沖縄に帰って、ずっとやってみたかったアパレルや飲食とかを始めたんですけど、お客さんが居心地よくなるような曲をかけたりするのがすごく楽しかった。そういう風にまた気軽に音楽と付き合えるようになったのは、この9年間で大きかったことのひとつですね」
――メンタルなリハビリをしていたわけですね。そこから再始動という流れになったのは何かきっかけがあったんですか?
「3年前くらいから、ようやくまた曲を作りたいという欲求が生まれて、少しずつPCで作り始めていたんですよ。そんな時にレイハラカミさんが僕の店にライヴに来てくれて。ハラカミさんは毎年来てくれていたんですけど、その時は帰り際に〈俺も新作出すから、downyも出しなよ。それで一緒に何かやろう〉って言ってくれたんです。でも、その直後に亡くなられて。うちでやったライヴが最後のライヴだったんですよね。そういうこともあって、勿論それだけじゃないですけど、ひとつのきっかけとして僕のなかで再始動するモードに徐々になったのでメンバーに声をかけてみたんです」
――メンバーの反応はどうでした?
「溜め息まじりに〈そうか、じゃあ、またあの日々が始まるんだな〉って(笑)。downyって修行みたい感じがあって、当時は1日8時間は練習していましたからね。それで、2年前くらいからぼつぼつ準備を始めて、全員にスイッチが入ったのが去年くらい」
――それでツイッターで報告したわけですね。レコーディングはどんな感じで進めていったんですか?
「メンバーそれぞれが思っている〈新しい音〉を理解して、それを消化するという作業がひとつあって。それから、メンバーそれぞれに〈downyはこうじゃなきゃいけない〉というのを明確に持っていますから、そこも考えていかなければいけない。この9年間、メンバーはそれぞれの活動を通じて、〈downyらしさ〉を考え続けていたんだと思います。僕は何もやってなかったんで、ふわふわした感じで〈今回は四つ打ちでもいいんじゃないか〉とか思ってたんですけど、メンバーから〈downyは四つ打ちはないだろ〉という意見が出たりして。それで30曲くらい用意して始めたんですけど、うまくいかなくて全部ボツったんです。次はスタジオで4人で〈せーの〉でセッションした音源を構築してみたんですけど、それも〈もっと何かあるんじゃないか〉ってことになってボツって。どちらも、リリースできるくらいのとこまで完成していたので、僕からすると新作は7枚目みたいな感じですね」
――かなり試行錯誤があったんですね。最終的にはどういうアプローチがとられたんですか?
「これまでは、ベースはエフェクターを使っちゃダメ、ギターはギターの音を出したらダメ、ヴォーカルはエモーショナルに歌っちゃダメとか、そういうルールを決めておいて、その規制のなかで何ができるかを考えるのがカッコいいと思っていたんです。でも今回は、一度そういうルールを取り払ってみようと。あと、個人的には歌ものをやってみようというテーマもありました。でも、これまでこんなにヴォーカルの音量をあげたことがなかったので、ちょっと恥ずかしくて(笑)。これくらいが普通らしいですけどね」
――青木さんの歌詞って、すごく言葉にこだわりがあるじゃないですか。普通ロックで使われないような言葉を使っていて。歌詞を書く際には、言葉と語感とどちらを大切にしていますか?
「その間をとっているつもりなんですけど、結果的には詩に落とし込みたいので、字面のための歌のポジションが変わってきたりしますね。曲ごとに歌詞とサウンドで作り出したいイメージというのがはっきりあって、仮タイトルの段階でメンバー全員でそのイメージを共有しながら曲を完成させていくんです」
――確かにdownyのサウンドは曲を奏でるというより、イメージを音像化する、みたいなところがありますね。そんななかで面白いのは、メンバーそれぞれが一丸となって緻密なアンサンブルを構成するというより、それぞれが並走しているうちに共鳴しあってグルーヴが生まれるようなところがある。
「それがdownyらしいとこなんですよ。自分たちで意識していなくてもそうなる。僕らはひとつの曲のなかで一人一人がみんな別のことをやっていて、このリフとこのリフがユニゾンするなんてことは基本的にないんです。どんどん足していくうちに自分たちにしかできないグルーヴが生まれる。変なバンドですよね(笑)」
――今回、メンバーがそれぞれのサイドワークを通じて、バンドに持ち帰ったものもありました?
「もちろん、あると思います。それぞれ経験によって人生も変わるし感覚も変わる。そういうのも音に出てると思いますね。でも、やっぱり、みんなで音を出すと〈downyだ!〉って思いましたね。どんなメジャーなコードを弾いてても、こういう音になるんですよ、面白いことに。あと、みんなが言ってたのは〈downyはやっぱり難しい〉(笑)。〈こんなの他でやったことねえよ〉なんて言いながらやってましたね。僕は9年間まともにギターを弾いてなかったから、ずっと指の筋トレやってたし」
――まさに修行に日が帰ってきた。
「修行なんですよ、ホントに。もうボロボロになりながらやってました(笑)。でも楽しかったですよ。大変だけど結果が良くなっていくのが見えてくるわけだし。〈何が一番いいのか?〉という選択に時間がかかりましたが、渾身のアルバムっていうくらい、やり切ったと思います。やっぱり人がやらないこと、新しいことをやりたい。そういう思いが必要以上に強いバンドなんだと思います。誰々っぽいとか言われなくない。人に影響を与えるバンドになりたいと、僕は思ってますね」
Text by 村尾泰郎




downy / 第5作品集『無題』downy
第5作品集『無題』

*タイトルではありません。

2013.11.20 On Sale

PECF-1081 [CD]
felicity cap-184
定価¥2,625 (税抜価格¥2,500)


[収録曲]
1.『   』
2.赫灼セルロイド
3.曦ヲ見ヨ!
4.下弦の月
5.時雨前
6.黒
7.春と修羅
8.雨の犬
9.燦
10.或る夜
11.椿












downy
(ダウニー)


2000年4月結成。
メンバーに映像担当が在籍するという、特異な形態をとる5人編成のロック・バンド。
音楽と映像をセッションにより同期、融合させたライブスタイルの先駆け的存在とされ、独創的、革新的な音響空間を創り上げ、視聴覚に訴えかけるライブを演出。
ミュージックビデオの制作、プロデュースもメンバーが手掛け、世界最大級のデジタル・ フィルム・フェスティバルRESFESTに於いても高い評価を得る。
日本に於けるポストロックの走りともされている。

青木ロビンは、zezecoとしての活動に加え、映画音楽制作、ゲストボーカルとしての参加、THE NOVEMBERS等のアーティストへの楽曲提供、アレンジ、プロデュースも手掛ける。音楽以外にも、空間デザインや、アパレルデザイナー等、多岐にわたって活躍。
青木裕は、unkieとしても活動。他にMORRIE(DEAD END)ソロプロジェクト、黒夢、LEO今井、日暮愛葉等様々なプロジェクトに参加。ギタリスト、プロデューサーの他、CDジャケットのアートワークなど、イラストレーターとしても幅広く活動している。
仲俣和宏は、fresh!、YakYakYakとしても活動。後藤まりこ等のサポートメンバーとしても活躍。
秋山タカヒコは、fresh!での活動や、長澤知之、スキマスイッチ、清春、黒夢、小南泰葉、ナオト・インティライミ等、レコーディング、ライブに多数参加。
石榴は、JUNO REACTOR 、VIOLET UK 、SUGIZO、カンヌMIDEMショウーケース、GoldenEggs他、多数の公演映像演出を手掛けたりと国内外で活動中。

現在までに、4枚のオリジナルアルバムをリリース。
2004年活動休止以来、メンバー各々の活動は更に多岐にわたり、現在も猶、国内外のアーティストからの指示も高く、注目度も高い。

2013年、9年ぶりに活動再開。
2013年11月20日、第5作品集「無題」がリリースされる。

[Official Website]
http://www.downy-web.com/




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