INTERVIEW

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HALFBY ”innn HAWAII” 発売記念対談 HALFBY × Alfred Beach Sandal

  • 2016.01.27
HALFBY ”innn HAWAII” 発売記念対談
HALFBY × Alfred Beach Sandal

Interview&Text : 小野田雄
Photo:仲原達彦

ロコなハワイではなく、インナーワールドとしてのハワイを、手弾きしたメロディやビート、サンプル・ピースやフィールド録音素材によって描き出したHALFBYの4年半ぶりのアルバム『INNN HAWAII』。太陽さえとろけさせるメロウネスをたたえた2曲のチルアウトソウル「Slow Banana」と「Kids」の2曲にヴォーカルでフィーチャーしたAlfred Beach Sandalの北里彰久もまた自身が紡ぎ出す音楽を介して、奇妙な世界を旅するサウンドトラベラーだ。そんな2人が音楽の彼方に新たな音楽の風景を探し求め、コラボレーションを通じて描き出したものとは果たして?

― 今回、HALFBYのアルバムにAlfred Beach Sandalが参加したことは意外だと感じたんですが、どういった経緯で両者のコラボレーションは実現したんですか。
HALFBY(以下、H) 「過去にイベントで一緒になったことはなく、僕が一方的にビーサン(Alfred Beach Sandal)のことを知って、最初は漠然と「歌が上手いな」とか、「いい顔してそうだな」とか、そんなことを思って。そこから聴いていくうちに、ひねくれた感じ、複雑なコード感であるとか、一筋縄ではいかないものを感じる一方で、しっとりした普通にいい曲もいい感じで歌うんだろうなって。そうこうするうちに、ビーサンのことが気になり始めたという」

― どんどんハマっていった、と。
H 「そして、今回のアルバムを作っている時、もともと付き合いのあったVIDEOTAPEMUSICとたまたまイベントで一緒になったので、彼と仲がいいことを知っていたビーサンについて、「アルバムに参加してもらいたいんだけど、気難しい感じの人なの?」って訊いてみたら、「案外イケると思いますよ」って。そこでVIDEOくんに橋渡しをしてもらい、自分からもビーサンにメールで連絡を取って、データのやり取りから曲を作り上げていったんです」

― Alfred Beach Sandalからしたら、全く想定していなかった参加要請だったと思うんですけど、どう思われました?
Alfred Beach Sandal(以下、A) 「HALFBYの名前はもちろん知っていたんですけど、今回誘われるまで作品をちゃんと聴いたことはなくて、ヴォーカルで参加をお願いされたのも、僕のバンドのベーシスト、岩見さんがやってるZycosぐらいしかなくて。ただ、VIDEOくんもそうですけど、共通の知り合いはいっぱいいたし、送ってもらったトラックを聴いてみて、いい感じになりそうだなって、直感的に思ったので、参加を決めました。そうやって曲を聴いて判断したので、仮にVIDEOくんが間を取り持たなくても、引き受けたと思いますよ」
H 「一番最初に送ったのは、アルバム最後の曲「Kids」のデモなんですけど、のちにファットなドラムのブレイクビーツに差し替えたリズムボックのワンループをベースに、ピアノのメロディで展開を付けたものですね。そうしたら、「こういう曲は得意だと思います」っていう返事が返ってきたんです」
A 「Alfred Beach Sandalのライヴはバンドサウンドですけど、自分の曲作りは、どちらかというと、シンガーソングライター的な感覚というより、DJ的な感覚で取り組んでいるんですよ。だから、トラックメイカーにお願いされて、歌を乗せることは、自分にとって不自然ではないですし、「Kids」に関していえば、後からドラムの差し替えがありつつ、こちらでサビにメロディを付けたり、そういうやり取りを何度か繰り返して、最終的に完成しましたね」

― このコラボレーションは、Alfred Beach SandalがHALFBYのトラックメイクに理解があったというだけでなく、HALFBYが今回のアルバムでテーマにしたハワイとブラジル音楽や辺境音楽を好むAlfred Beach Sandalのエキゾチックな音楽指向も通じるところがありますよね。
A 「自分の好きな音楽が南国産のものが多かったりするので、自然とそういう音楽の影響が反映されているだけで、計算して作っているわけではないんですけどね」
H 「僕も先にハワイというテーマを設定して、このアルバムを作ったわけではなくて(笑)。今までは、瞬発力で作ったシングルに帳尻を合わせるようにアルバムを作っていたんですけど、今回はアルバムに先立つリードトラックもなく、流しっぱなしで何度も聴けるように、情報量が少ない、ゆるい感じになればいいなと思っていて。そんななか、観光旅行でハワイに行ったら、図らずして、ハワイのムードに強くインスパイアされることになったんです。その一方で、かつて、砂原良徳さんがパン・アメリカン航空の架空のノベルティ・レコードをイメージして、『PAN AM:The Sounds of the 70's』を作ったように、自分もノベルティ・レコードへの憧れがあって、特定の世界観を設定して作品を作ってみたいなと思いながら、アルバム制作中は海外のオークションサイトで、お菓子のCMソングが入っているイタリアとかドイツのレコードをよく買ったりもしていたので、制作を進めていた作品のテーマが最終的にハワイに落ち着いたんです」

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― 例えば、エキゾチカの名盤、マーティン・デニーの『Exotica』にしてもイメージや想像上の南国音楽を形にした作品であって、そこに実体がなかったりするように、HALBYのアルバムもハワイ的なイメージの作品であって、ハワイの音楽そのものを形にしたわけではないですもんね。
H 「そう、土着的な作品ではないという」

― Alfred Beach Sandalの音楽も南国の音楽に触発されながら、最終的にはいい意味でストレンジなものになっています。
A 「昔は音楽を作る際に、特定の地名が頭の片隅にあったんですけど、最近はそういうプロセスを経ずに、どんどん、自分だけの王国を作る方向に行っちゃってて(笑)」

― ははは。自分だけの王国というと、映画『地獄の黙示録』みたいですね。
A 「だから、もうどうしようもないですね。アルバムのジャケットもどんどん謎な方向に向かっちゃってますからね」
H 「でも、アートワークは音についていってるんじゃない?」
A 「そう、だから、『Unknown Moments』のアートワークは気に入っているんですけど、どこが気に入ってるのかっていうと自分でもよく分からないっていう。でも、HALFBYからハワイっていう特定のワードが出てきたということは、そういう気分だったということなんでしょうけど、ハワイって面白いですか?」
H 「うん、いいところだよ。世界のリゾート地の最高峰というか、飯が美味かったり、海がきれいだったり、万人受けする良さもいっぱいあって」
A 「(夜景が映し出されているアルバムの内ジャケを眺めながら)これもハワイですか?」
H 「そう、タンタラスの丘から撮った夜景。ジャケットはキャッチーな、ポップな感じですけど、この夜景の写真はマッキー・フェアリー・バンドへのオマージュっていう(笑)。ハワイって、本土から離れてはいるけど、アメリカの一部であって、自分が憧れを抱くノスタルジックなアメリカがハワイにはいい感じのサイズ感で凝縮されていて、個人的に感じるものが多かったんだよ。ハワイ……っていうか、海外は行ったりする?」
A 「こないだ、ライヴで韓国とか台湾に行きましたけど、それ以外だと子供の頃にドイツへ行ったくらいですね」
H 「イメージとしては、トライバルな土地にリュック1個で出掛ける感じなのにね」
A 「あ、全然。そういう行動力はないですね(笑)。でも、音楽をやってる人はみんなそうだと思うんですけど、自分が予想している範疇の外に行きたいから、エキゾチックなものに憧れるんだと思うんですよね。だから、実際、旅行するかどうかっていうことより、ぶっ飛べるかどうかが重要というか、そこでハワイなり、ブラジルなり、自分がぐっとくるものがあると惹かれるんじゃないかなと」
A 「自分にとってのハワイにしても、わざわざ、ノスタルジーを探しに行ったわけじゃなく、観光旅行でふっきれた気分になりたくて出掛けて、そのことが結果的にアルバムのテーマを引き寄せたという、ただ、それだけの話なんですよ」

― 逆にいうと、ハワイに行く前は相当に煮詰まっていた、と。
H 「そうですね。一時期はもう音楽を作るのを止めようと、でも、その止め時すら分からない、みたいな(笑)」
A 「VIDEOくんから話を聞いた感じだと、アルバム完成まで結構時間かかっているんですよね?」
H 「そうそう。まぁ、でも、自分は飽きやすかったりするので、ずっと制作に没頭していたわけではなく、作業を中断して、ずっと、ガンダムを観ていたりとか(笑)。そんな感じで取り組んでいたので、今までだったら、アルバムをもう1枚出しているくらいの曲のストックがありながら、それを全部捨てて、自分と付き合いながら制作を進めていったという」
A 「僕の場合、『Unknown Moments』に関しては、バンドメンバーと意見を出し合いながら、レコーディングの限られた時間を駆け抜けていった感じなんですけど、そんななか、アルバムを出すには曲が足りない状態が続いていて、「まだ、これだけしか出来てないのか……」って思ってましたね(笑)」
H 「僕のアルバムでは「Kids」と、もう1曲「Slow Banana」でビーサンに参加してもらったんですけど、2曲目をお願いしている段階で、ビーサンのアルバムリリースが遅れますっていうアナウンスが流れてきて、「うわ、俺のせいだ!」って思ってたよ」
A 「いや、それは全然関係ないんですよ。状況的にはそういう問題じゃなかった」

― 音楽家として生みの苦しみに直面しながら、ビーサンは自分の王国、HALFBYはハワイにぶっ飛んで、状況を打開したと。
H 「うん、ホント、ハワイに感謝ですし、しかも、ハワイでビーサンですからね。実際、アルバム出してみて、ビーサンが歌っている曲の人気が高いんですけど、「今までにないビーサンを引き出してくれて、ありがとうございます」っていう感想もあったりして(笑)」
A 「確かに、自分では作らないし、出来ないだろうなっていう曲だったから引き受けたところは絶対にあって。アルバム自体、ハワイっていう統一したムードを維持しつつ、BPMも80から90くらいで一貫していて、意志が強い人なんだなって感じたし、音の積み方がおもちゃっぽいところが面白いなって思ったんですよね」
H 「おもちゃっぽい、ノベルティっぽい音楽ということでいえば、ネスカフェが昔出したレコードに入ってるコーヒーを注ぐ音が好きだったりして、今回、自分のアルバムでもワイキキビーチで録った波の音だったり、モンキーポッドっていう「この木なんの木、気になる木」でお馴染みの巨大な木にいる鳥の鳴き声を使ってみたり、確かにがちゃがちゃしたアルバムになっているかも」
A 「そう感じたのは、ドラムの音作りに負うところが大きいのかも。すごいファットで、ドーンとしたリズムで底を厚くするんじゃなく、もっとイージーリスニングな作りになってると思うんですよ」

― 確かに、低音より、中、高音域、リズムよりメロディを意識させる作りになっていますもんね。
H 「自分の年齢が40になった一方で、細分化されて、情報量が多くなった最新のダンスミュージックを家でも聴かないし、クラブでもかけなくなったことも影響としては大きいんじゃないかと思います。メロディに関して、今までは自分の脳内にあるメロディをエンジニアに弾いてもらって、形にしていたんですけど、今回、自分で考えたメロディをキーボードで弾いてみたり、リズム主体で曲作りをしたわけでもなかったんですよ」
A 「僕の場合、もちろん、面白いリズムが大好きではあるんですけど、そこに歌が乗るので、リズムとメロディ、言葉のリズムをいかに組み合わせるかを意識するし、自分の曲作りではフレーズの断片をループさせて、そこで歌や言葉のリズムを考えながら、むにゃむにゃ歌って、ちょっとずつ曲を広げていくんですね」
H 「ビーサンは曲と言葉のリズムがマッチしてるもんね。その話を聞いて納得した」
A 「最近の曲はよりその傾向が強まっているんですよね。実際、ヒップホップが好きだったりしますし」
H 「STUTSや5lackとやった曲も良かったもんね」

― ビーサンしかり、このアルバムに参加しているVEDEOTAPEMUSICやceroの橋本くんだったり、東京で繋がっている下の世代のミュージシャンから触発されたところも大きかったりするんですよね?
H 「そうですね。ただ、全く新しい音楽と出会ったというより、「こういう音楽を好きで聴いていた時があったなー」っていう軽いデジャヴがある感じ。そして、「こういう音楽がまた新鮮に聞かれているんだな」って思えたことが、自分もHALFBYを止めずに新作を作るきっかけにもなったし、そういう思いがあったからこそ、ビーサンや橋本くんに参加してもらったということもあります」
A 「まぁ、自分としては、シーンという捉え方ではなく、単純に今まで音楽をやってきて、友達がいなかったのに、急に友達が出来たっていう感じなんですよ。その知り合い方もお互いの音楽をリスペクトするところから始まっていて、もちろん、影響を受けている部分もあるんですけど、究極的にいえば、自分は自分っていう感覚は持っていると思うし、他の人たちと同じ感覚で音楽は出来ないだろうし」
H 「すごい通りやすい道を通らずに、ジャングルを掻き分けて進んでいってるというか(笑)」
A 「だから、たまに孤独感を感じたりもするんですけど、先が見えてる道はつまらなく感じてしまう性格だったりするので(笑)」
H 「僕もそうですもん。京都を拠点に、ヒップホップどっぷり、ダンスミュージックどっぷりではなく、ずっと中途半端な位置にずっといて。でも、何か一色に染まらないことで生まれる、他にないアイデアにこそ、自分の価値があるんだと思っていますね」

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  • 2015.11.11 On Sale
  • PECF-1129 / felicity cap-242
    [CD] ¥2,500 with tax

<TRACK LIST>

  • A.L.O.H.A
  • Welcome To Old Island
  • Birdsong
  • Plate & Cola
  • Pearl Harbor
  • A.L.O.H.A 02
  • Rover
  • Slow Banana feat. Alfred Beach Sandal
  • Mauna Kea Night Sky feat. Electric Sisters
  • Hula Girl
  • Sweet Kamehameha
  • Morning Glass Coffee feat. VIDEOTAPEMUSIC
  • Kids feat. Alfred Beach Sandal


PROFILE
HALFBYハーフビー
HALFBY ”innn HAWAII” 発売記念対談  HALFBY × Alfred Beach Sandal高橋孝博( たかはしたかひろ)のソロプロジェクト。
これまでにメジャーを含む4枚のアルバムをリリースし、全てのアルバムの楽曲は、日々お茶の間のBGMとしてテレビやラジオで延べ10年以上使用され続けている。平日はリミキサー/アレンジャーなどと並走し、アーティストへの楽曲提供から、企業CM、映画音楽などの制作をライフワークに、週末はDJとして京都から全国各地へ。2015年11月4年ぶりとなるニューアルバム「INNN HAWAII」をリリースする。
Alfred Beach Sandalアルフレッド・ビーチ・サンダル
Alfred Beach Sandal2009年に北里彰久(Vo, Gt)のフリーフォームなソロユニットとして活動開始。
ロックやラテン、ブラックミュージックなど、雑多なジャンルをデタラメにコラージュした上に無理矢理ABS印のシールを貼りつけたような唯一無二 の音楽性で、真面目に暮らしている。
2013年のアルバム”Dead Montano”以降は、岩見継吾(Wb)、光永渉(Dr)とのトリオ編成を軸として、美学をつきつめ中。

http://alfredbeachsandal.com/
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  • A.L.O.H.A
  • Welcome To Old Island
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  • A.L.O.H.A 02
  • Rover
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