ベースレスな和製ホワイトストライプス、またの名はチンコのついたチャットモンチーとなったワタルとケンスケによるシスタージェットは、早くも新たなパートナーを得て、「2」から「4」に増幅した。そのパートナーがDOTS+BORDERS、またの名が「渋谷系の点と線」。今や引く手数多の「鍵盤メインのマルチプレイヤー」堀江博久と、デトロイト・メタル・シティもひれ伏したエイジレスな「感性のチェリーボーイ」カジヒデキが90年代末に「日本のゴドレイ&クレーム」と称されたソングライター・マルチユニットだ。今もお互いに多忙を極める中、そもそも彼らが在籍していたレーベル「トラットリア」の流れを組むレーベル「フェリシティ」の誘いを受けて今回復活し、シスタージェットと名実共に四つに組むクロスオーバーセッションを繰り広げることとなった。
10代のキッズがYouTubeでグレイトフルデッドやザ・バンドの映像を見てカッコいいと無垢に憧れる今。すでに世代や時代のギャップが無くなっているシーンに向けて、つんのめったドラムととぐろを巻いたベースが鼻っ柱の高いグルーヴを醸し出し、ギターがカリッカリの音を響かせ、鍵盤が七色のアナログな虹音を降り注ぐ、モッズテイストなビートロックを鳴らす新しい2×2=SISTERJET WITH DOTS+BORDERS。4人は、いいものはいい、カッコいいものはカッコいい、好きなものとは垣根を越えて「いつだってOUR GENERATION」なロックマナーをピッカピカに磨いてガレージから持ち出して来た。
マンチェスターから、ロンドンから、ブルックリンから、そしてトーキョーから、肌が黒くなくても、へその緒にブルースが刻印されていなくても、誰だっていつだってロックはキッズの無理を叶えて来た。ビジネスがベッタベタに二度塗りされたシーンがいくらロックの役割を曇らせたって、まだまだここには叶わない夢はないとエッジを磨きながら歌い鳴らす大バカ者が沢山いる。
SISTERJET WITH DOTS+BORDERSは、時代も世代もシーンもザ・ギョーカイもなーんも見ちゃいない。そんなことより好きなブリティッシュロックやサーフパンクやジャングルビートを床一杯に散りばめて、夢中になりながら終わらないセッションと、飾らない魔法のメロディー集めに躍起になっている。しかも何十年もそんな遊びを続けて来たDOTS+BORDERSと、第二期反抗期を迎えているジェットの2人の化学反応が生んだ、このレベルの高さ! ファンファーレを鳴らせ、クラッカーを用意しろ、このアルバムはパーティー・ロック・アンセムズそのものだ。