“出発だ。新しい情と響きとへ”
いわゆる「ライフデリック」。
やけのはら、待望の2nd. アルバムです。

飄々と淡々と、飾り気のないシンプルな佇まい。一見ぶっきらぼうなようだが、それでいてどこか垢抜けたセンスが感じられる、唯一無二のテンダー・ヴォイス。ちょっと気の抜けた軽妙なノリ、独特のスウィング感覚が魅力です。都会的センス、情景描写に優れ、ウィットに富んだインテリジェンス溢れる秀逸な歌詞。誠実な人柄が伝わってくる歌声、小さな幸せを希求するような語り口はソフィスティケイトされた味わい。日常で揺れ動く心の機微、そんな生活の風景、光景、
喜怒哀楽を鮮明に浮かび上がらせるように。

多様な考え方、生き方、スタイルなど、元から無いかのように人々の頭から編集されて消されてしまう。新自由主義の名の下にため息もつけない世界で、慎ましく日々を積み重ね、続けていく。暮らしていく。様々な場所から聞こえる様々
な感情、声。一つ一つ違う、その形。その意思。
一曲、一曲に表情があり、短編オムニバス映画を見ているような錯覚を覚えます。ラップという表現方法を採っていますが、
ヒップホップ濃度がとりわけ高いわけでは無く、むしろ新世代のシンガー・ソングライターやトーキング・ブルースともいった趣きもあり。時代の空気を反映して、語るように歌う、簡素な中にも芯の強さを秘めたその歌い口は、より幅広い層で受け入れられるはずです。

マジカルでドリーミーな響き、小粋なメロディ展開、シンプルで的確なアレンジ。適材適所にゲスト・プレイヤーを配し、アイロニーとユーモアを織り交ぜた、洒脱なトラック作りの妙も見逃せません。随所に、ノスタルジックな香り漂うグッド・タイム・ミュージックへのオマージュをも感じさせますが、ともするとこれは、普通に生きていくことの困難さ、つまり、荒廃と破滅に向かいつつある現代社会への反語なのかもしれません。

別に誰かに勝たなくたって、そこに、いやもうここにも、豊かさはあるはずだ。

思いを刻み、届けること。生きることを肯定する、ポップ・ミュージックの魔法。綿々と続くカルチュアの道筋、新しく志が高い、どこまでも洗練された美意識と柔軟な発想で、その時代の、場所の、人の、人々の、声を、気持ちを、溝に刻んだ記録。ジャケット・デザイン、写真、印刷、空気感などからも、現代の、その場所の、匂いを、気持ちを、想像してください。

けして、はしたなくは生きたくはない、よ。
ラディカルに、でも、だからこそ、エレガントに。



【参加アーティスト】
BETA PANAMA
VIDEOTAPEMUSIC
DORIAN
キセル
MC.sirafu
ATOM
LUVRAW
高城晶平
平賀さち枝
遠藤里美

DJ、ラッパー、トラックメイカー。『FUJI ROCK FESTIVAL』、『METAMORPHOSE』、『KAIKOO』、『RAW LIFE』、『SENSE OF WONDER』、『ボロフェスタ』などの数々のイベントや、日本中の多数のパーティーに出演。年間100 本以上の多種多様なパーティでフロアを沸かせ、多数のミックスCD を発表している。またラッパーとしては、アルファベッツのメンバーとして2003 年にアルバム「なれのはてな」を発表したのをはじめ、曽我部恵一主宰レーベルROSE RECORDS のコンピレーションにも個人名義のラップ曲を提供。マンガ「ピューと吹く！ジャガー」ドラマCD の音楽制作、テレビ番組の楽曲制作、中村一義、メレンゲ、イルリメ、サイプレス上野とロベルト吉野などのリミックス、多数のダンスミュージック・コンピへの曲提供など、トラックメイカーとしての活動も活発に行なっている。2009 年に七尾旅人× やけのはら名義でリリースした「Rollin’ Rollin’」が話題になり、2010 年には初のラップアルバム「THIS NIGHT IS STILL YOUNG」をリリース。その後、Stones Throw15 周年記念のオフィシャルミックス「Stones Throw 15 mixed by やけのはら」を手がけ、2012 年には、サンプラー＆ボーカル担当している、ハードコアパンクとディスコを合体させたバンドyounGSoundsでアルバム「more than TV」をリリース。2013年3月、新しいラップアルバム「SUNNY NEW LIFE」をリリース。

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