INTERVIEW

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2016.06.25 新代田FEVER Analogfish x トリプルファイヤー  Analogfish下岡晃&佐々木健太郎 x トリプルファイヤー 吉田靖直&鳥居真道

  • 2016.05.11

2016.06.25 新代田FEVER Analogfish x トリプルファイヤー スペシャル対談
Analogfish下岡晃&佐々木健太郎 x トリプルファイヤー 吉田靖直&鳥居真道

Interview : 金子厚武

新代田FEVERを舞台に、4月と6月に隔月で開催されるAnalogfishの2マンシリーズ。Alfred Beach Sandalを迎えた第一回に続いて、トリプルファイヤーを迎えての第二回が6月25日に開催される。「高田馬場のジョイ・ディヴィジョン」「だらしない54-71」などの異名を持つトリプルファイヤーとの2マンは、来場者をミニマルなグルーヴ渦巻く異空間に連れ去ることだろう。Analogfishから下岡晃と佐々木健太郎、トリプルファイヤーからボーカルの吉田靖直とギターの鳥居真道が参加しての対談は、マイペースなトリプルファイヤーの2人を下岡が質問攻めする、普段の取材ではなかなか見られない展開となった。

― 2マンの相手にトリプルファイヤーを選んだ理由を教えてください。
佐々木 前に新宿ロフトで一度対バンしたことがあるんですけど(2014年10月に行われた「スペースシャワー列伝100巻記念公演~第108巻?(はてな)の宴~」)、一目見てかっこいいなって思ったんです。バンドアンサンブルも面白いし、そこに乗る歌詞も今までに聴いたことがないタイプで、すぐに『スキルアップ』を買って、しばらく聴いてました。
下岡 僕も音数少ないバンドアンサンブルが好きで、「ホントにこの人たちこれしかしないんだ」って思ったんです。それこそ、僕が好きなミーターズとかのフィーリングも感じたし、JB’sとかが曲間を切らずにつなげていってるような印象も受けて、しかも、すごくパンクじゃないですか? 「僕が好きな要素を変な形で両方持ってるな、この人たち」って思って、ホントにツボでした。

― 何かのインタビューで、鳥居くんも「ミーターズが好き」って言ってるのを見ました。
鳥居 好きですね。ミーターズとかJB’sとかって、細かいリフの掛け合いみたいなので全体ができていくところがあると思うんですけど、それを最小限で作っていくみたいな感じです、今やろうとしてるのは。
下岡 作るときにジャム要素はそんなにない?
鳥居 全然ないです。決め打ちで。
下岡 この間トリプルファイヤーを聴いてたら、ZAZEN BOYSと近い気がして。いくつかのテーマを組み合わせて、ちょっとずらしたり、僕ああいう切れ目がはっきり見える音楽が好きだし、ずっと続いてる感じも好きで、トリプルファイヤーもそうなんですよね。初期のAnalogfishが目指してて、でもそのときの僕らではできなかったことをこの人たちはやれてるなって思って、すごい羨ましいとも思った。

― 吉田くんは曲作りにどう関与してるんですか?
吉田 適当に、ウワーッとやる感じです。
下岡 家で聴いて考えるの? それとも、スタジオでやっつけで乗せるの?(笑)
吉田 最終的に家で考えるんですけど、まずスタジオで適当に思いついたことを言って、何となくの雰囲気を出して、でもその後に家で考えた言葉をはめると、また全然スタジオでやったものとは関係ないものになるんで、意味なかったなってよく思います(笑)。
下岡 スタジオでやってるときに、メンバーを笑わせようと考えませんか?
吉田 前はそういうのもあったんですけど、最近はないです。みんな全然聴いてないんで、たまに何か言っても、「全然伝わってねえな」って思うから、むしろあんまり声が聴こえないように、マイクの音量を下げたり……。
下岡 僕mooolsの酒井さんの歌詞が大好きなんだけど、前に酒井さんが言葉のアイデアを考えるときに、メンバーを面白がらせることを大事にしてるって言ってて、それすごい素敵だなって思って。吉田くんももしかしたらそういうテンションあるのかなって。
吉田 それは素敵ですね……でも、僕はないです。

yoshida

― だとすると、吉田くんは誰に対して、どうしてやろうと思って、言葉を選んでいるのでしょうか?
吉田 あんまり考えたことなかったんですけど……自分で突っ込みどころがあると気に入らないというか、めちゃめちゃ性格悪い人にいちゃもんつけられても、反論できるようにしたいっていうぐらいですね。「バカなこと言ってるな」って言われるのは別にいいんですけど、「この観点なかっただろ」みたいな感じで突っ込まれるとむかつくんで、すべての視野を網羅するようにはしてます。
下岡 突っ込みどころだらけっちゃあ突っ込みどころだらけだけどね……。
吉田 ……まあ、そうなんですけど。

― (笑)。下岡さんはトリプルファイヤーの去年出た新作『エピタフ』の中の曲で気になる歌詞ありましたか?
下岡 みんな面白いんだけど、“トラックに轢かれた”は、悲しいんだけど、面白いっていうか。僕が思ってることがあってるかはわからないけど、僕は歌詞を見て「言おうとしてることがある」って感じて、それがわかるなって勝手に思うから、そのことを伝えるために、この歌詞を書くっていうのは、ホントに才能だと思う。しかも、基本的に全部同じシステムで歌詞を書いてるのもすごい。曲もそうだよね。みんないろいろやりたがるけど、自分がやれるってわかってることしかやらない感じがかっこいいと思う。

― 実際、「自分たちがやれることはこれ」っていう感覚なんですか? それとも、もっと自然な感じでしょうか?
鳥居 結構4人とも自分たちがやってることに対して自意識過剰だとは思うんですけど、いろんなことにチャレンジしようって気概があんまりないのかもしれない。
下岡 でも、今がかっこいいから、これでいい気がする。鳥居くんがメインで使ってる歪みって何ですか?
鳥居 つい最近変えたんですけど、前のロフトのときとかはブルースドライバーでした。
下岡 めちゃくちゃいい音ですよね。じゃあ、ブルースドライバーとJCでいい音出してるんだ。酒井さんも今は違うけどBOSSのオーバードライブとJCなんです。いい音出してる人は、BOSSとJCなんだ(笑)。

shimooka

― 普通が一番と(笑)。ちなみに、下岡さんのセッティングは?
下岡 エフェクターはうちのPAが作ってくれたのを使ってて、アンプはJCの半分くらいのサイズの、古いヤマハのソリッドステートのアンプです。Analogfishは足元いろいろやろうとし過ぎて大量になっちゃうから、ホントはやることひとつに決めて絞れるといいんですけど。あと鳥居くんはあのSG(*1)もいいですよね。あれでハイがキンキンしてる感じの音を出す人は結構いるんですけど、鳥居くんみたいにちゃんとミドルがあって、フレーズがちゃんと聴こえる人って、使い方上手だなって思う。
鳥居 昔はテレキャスだったんですけど、今のにして、どんどんエフェクターも減って。
下岡 酒井さんもテレキャスからSGだ。そこに何かあるのかな(笑)。
佐々木 僕は初めて見たときリズム隊がすごく安定してるなって思ったんです。しかも、アレンジもすごくて、あの音数で曲が持つように作られてるのがすげえなって。普通のバンドだったら、一曲持たせるのが難しいと思うんですよ。
下岡 サビで音量でかくしようとかは思わないですか? そういう風に聴こえる曲もあるけど、基本そういうアイデアではやってないですよね。
鳥居 たぶん、盛り上がりとかない感じになってると思います。
下岡 あるよ、あるある(笑)。でも、“カモン”とかも「両手を上げろ」とか言ってるわりに、まったく乗っていかないよね。

― それって「盛り上がる/盛り上げる」ってことばかりが重視される傾向に対するアンチテーゼっていうことでもあるんでしょうか?
鳥居 個人的には、普段家で聴いてる古いアメリカのロックとかって、そんなガーンってならないし、いい感じの盛り上がりがあるなって思うんですよ。最近のは常に100で、サビで200みたいな感じだから、そんなに盛り上がんなくてもなっていうので、自分の気持ちいい方に専念しようってことですね。

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― そこはAnalogfishも通じる部分がありますよね。
下岡 でも、レディオヘッドの“Creep”みたいな、サビでバーンっていうのもやっぱり興奮するっていうか、あれは大事なロックの発明のひとつで、そういうのにグッとくる自分もいるから、Analogfishではそこはちゃんと押さえて、どこかでやろうって気持ちはあります。ただ、今僕が興味持ってるのは、そんなに上下しないっていうか、その中で音楽を回す方がしっくり来るかな。ミーターズみたいなことをやりたいって言ってるのに、バーンってやっちゃったら、その時点でミーターズじゃなくなるんで(笑)。
佐々木 わりと初期から今みたいな音楽性なんですか?
吉田 最初3人だったので、僕が曲作ってたんですけど、鳥居くんが後から入って、だんだん作んなくなりました。
下岡 でも、鳥居くんの曲と吉田くんの曲って、聴いててそこまで違いわかんないよね。それよりも、バンドの構造が勝ってる感じがする。
鳥居 そこに合わせに行ってるところはあるかもしれないです。

― 「全然違うの作ってやろう」みたいにはならない? 例えば、めっちゃ歌ものとか。
吉田 バンドでやるとギャグになっちゃう気がするんで……やるなら一人で勝手に。
下岡 でも、いいかもね。資料に「だらしない54-71」って書いてあるけど、54-71が最後の方にすごい歌い上げてる曲(“I’m in Love”)出してたじゃん? 俺最初あれ全然わかんなかったんだけど、聴いてるうちにすごく好きになったから、トリプルファイヤーでもそういうの聴いてみたい(笑)。
吉田 確かに、障害になってる気もするんですよね。「これを出すのは恥ずかしい」みたいなのって、越えなきゃいけないときもあるんじゃないかなって。
下岡 おお、前向き(笑)。
吉田 全然何もしてないですけど(笑)。
下岡 みんな今いくつですか?
鳥居 今28歳で、今年で29歳になります。
下岡 音楽で食っていきたいとかあるんですか?
吉田 まあ……食っていきたいっていうのはあるんですけど、あんまりそのための活動をしてないんで……。
下岡 でも、こんな替えが効かない人なかなかいないですよね。54-71もそうだけど、90年代はそういう人たちがいっぱいメジャーにいましたよね。

sasaki

― 54-71、downy、NUMBER GIRLとかもそうっちゃそうですよね。
下岡 まあ、あの頃がインディーとして価値のあるバンドがメジャーに所属して大きくなるっていう夢の最後で、それがまた次あるとしたら、インディーのバンドがインディーのまま大きくなるしかなくて、メジャーに行って大きくなるっていうのはもうないんじゃないですかね。だから、そのやり方をみんな考えてるところであり、なかなか出口の見つからない話ですけど、でも、売れても売れなくても、ちゃんと面白いバンドがいるってことだけで、わりとそれでいいんじゃないかって思うところもあるんですよね。

― それこそ、吉田くんは言葉の方でテレビに呼ばれたりもしてるし、そういう方向で何かやっていくっていう選択肢もありますよね?
吉田 今は運よく誘ってもらって、やらせてもらってるんですけど、自分から何かしてないんで……もっと誘ってくれたら嬉しいです。
下岡 どんなことしたいですか?
吉田 例えば、人に歌詞を書くのでもいいし、「GEORGIAの広告の一言考えてください」とか、そういうのやりたいです。

― 下岡さんはそういうこと考えますか?
下岡 人の歌詞はすごい書いてみたいですけど、ただ、書ける気が全くしない(笑)。でも、ホントにやりたい。女の子の歌詞とか書いてみたいな……でも、自分からは何もしてない。

― 同じじゃないですか! じゃあ、6月の対バンを何かのきっかけにしましょう(笑)。
吉田 呼んでもらったのに恥じないライブをしたいと思います。

― Analogfishに関しては、『最近のぼくら』を出した後、下岡さんの制作が止まらずに、そのまま『Almost A Rainbow』につながっていったわけですが、現在はどういうモードになってますか?
下岡 健太郎が今めっちゃ作ってる。

― あ、前回の逆になってるんですね。
佐々木 前回は晃だけ先に行っちゃったんで、止まらないようにしようと思って。でも、Analogfishとしてどこに行くかっていうのはまだ探してるところだから、それを見つけるためにも、6月の対バンで刺激をもらえるといいなって思ってます。
下岡 僕は今近年稀に見る何もやらなさです(笑)。まあ、音的にやりたいことはちょっとあるから、そこに向けて既存曲を楽しく演奏できるようにしたくて、そのやりたい感じができるようになれば、トリプルファイヤーとも対バンとして合うっていうか、面白いと思うから、コマーシャルじゃなく、ホントにみんなに見に来てほしいです。

注釈
*1:正確にはGibson Melodymaker



「Analogfish x トリプルファイヤー」

2016/06/25(土) @新代田FEVER
開場 18:00 / 開演 18:30
前売 3,500円(D代 600円別)

【出演】 Analogfish / トリプルファイヤー

【チケット一般発売中】
ローチケ(Lコード:72516)/ぴあ(Pコード:290-118)/e+

【INFO】HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999



「Natsufish TOUR 2016」

2016/07/09(土) @名古屋RAD HALL
開場 18:00 / 開演 18:30
INFO JAIL HOUSE 052-936-6041

2016/07/10(日) @心斎橋Music Club JANUS
開場 18:00 / 開演 18:30
INFO 清水音泉 06-6357-3666

2016/08/10(水) @渋谷CLUB QUATTRO
開場 18:15 / 開演 19:00
INFO HOT STUFF PROMOTION

【出演】Analogfish

【チケット】前売 3,500円(D代別)

【一般発売】
・名古屋と大阪公演は5/28(土)10:00~
・渋谷公演は6/26(日)10:00~
ローチケ/ぴあ/e+
[Pコード] 名古屋(295-315) 大阪(295-748) 渋谷(294-703)
[Lコード] 名古屋(42683) 大阪(56806) 渋谷(74496)



triplefire_asha_350トリプルファイヤー

2006年結成、2010年に現在の編成となる。
「高田馬場のJOY DIVISION」「だらしない54-71」などと呼ぶ人もいる。
ソリッドなビートに等身大の歌詞をのせていてかっこいい。人気がある。
メンバーはみな性格が良く、友達が多い。

http://triplefirefirefire.tumblr.com


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  • 2015.09.16 On Sale
  • PECF-1125 / felicity cap-235
    [CD] ¥2970

<TRACK LIST>

  • Baby Soda Pop
  • F.I.T.
  • Will
  • No Rain (No Rainbow)
  • Tired
  • 今夜のヘッドライン
  • Walls
  • Hate You
  • 夢の中で
  • こうずはかわらない
  • 泥の舟


PROFILE
Analogfishアナログフィッシュ
2016.06.25  新代田FEVER Analogfish x トリプルファイヤー  Analogfish下岡晃&佐々木健太郎 x トリプルファイヤー 吉田靖直&鳥居真道

3ピースにして2ボーカル+1コーラス。唯一無比のハーモニーを響かせる希代のロックバンド。
下岡晃(G, Vo.)が問題提起する社会的なリリックと佐々木健太郎(B, Vo.)の情熱的な人間賛歌が見事に交差する楽曲群が魅力。
それを支える扇の要、斉藤州一郎(Dr, Cho.)のしなやかでファットなプレイと垢抜けたコーラスワークが高い評価を得る。
共演ミュージシャンはもとより、映画、小説、漫画等、各界クリエイターからのラブコールは止みません。

Official WEB→ analogfish.com

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  • PECF-1125 / felicity cap-235
    [CD] ¥2970

<TRACK LIST>

  • Baby Soda Pop
  • F.I.T.
  • Will
  • No Rain (No Rainbow)
  • Tired
  • 今夜のヘッドライン
  • Walls
  • Hate You
  • 夢の中で
  • こうずはかわらない
  • 泥の舟